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応力除去焼鈍は、粗加工と仕上げ加工のどちらの前に入れるべきか?

結論から言うと、応力除去焼鈍は粗加工の直後、仕上げ加工に入る前に挟むのが基本の工程順です。[1] ただし全加工後・検査前に応力除去熱処理を入れた公開事例もあるため、まず自社部品の材質と要求精度で工程順を判断します。[4]

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材質と工程順の希望だけで始められます。図面や具体的なアイデアがなくてもOKです。Meta-Naviの応力除去焼鈍・残留応力の記事と公開事例を見てから、条件の整理はこのページで進めてください。

とりあえず相談してみる元 topic: /glossary/stress-relief-annealing

まず確認すること

応力除去焼鈍をどこに入れるかで迷う相談の多くは、工程順そのものより先に、残留応力がなぜ反りを生むかが整理されていないことが原因です。判断の起点は自社の用語ページで示している「粗加工と仕上げ加工の間に挟むのが一般的な工程順」という基本ルールで、[1] そこに公開加工事例(材料:銅、寸法mm単位の平面度実績)と海外の熱処理技術資料、検査に使うJISの用語定義を重ねて、基本と例外を分けて確認します。

材料: 鋼材(S45C・SCM440等)か銅・銅合金かステンレス(SUS)か、熱処理状態とミルシート。[1][8]
工程順の希望: 応力除去焼鈍を粗加工と仕上げ加工の間に挟むか、全加工後に入れるかの希望。[1][4]
温度・保持時間: JIS B 6905の用語定義ではAc1点以下の温度域と徐冷が条件で、具体的な温度・保持時間は材料と板厚(mm)で決まります。[5][6]
公差: 平面度・真直度・同軸度の図面公差(mm)、または個別公差がない場合の等級。[2]
検査: 応力除去焼鈍のあとに最終検査を置くかどうか、寸法(mm)の再確認範囲。[1]

納期が遅れやすいポイント

  • 粗加工まで終えた鋼材部品が、仕上げ加工の途中で反り始める。[2]
  • 長尺・大径のシャフトや片肉が多い部品で、加工後に真直度や同軸度が公差から外れる。[2]
  • 応力除去焼鈍を仕上げ加工の後に入れたら、熱処理でわずかに寸法が動き、検収でやり直しになった。[1]
  • 銅など柔らかい材質の大型プレートで、平面度の要求を満たせない。[4]
  • 外注先に応力除去焼鈍を依頼する際、温度・保持時間の妥当性をどう確認すればよいか分からない。[6]

Q. 応力除去焼鈍はなぜ必要で、どんな効果があるのか?

A. 切削や溶接、焼入れで生じた残留応力だけを、硬さや金属組織を大きく変えずに取り除くためです。[1] 応力除去焼鈍は、変態点より低い温度域(鋼ではおおむね500〜650℃)まで加熱し、保持したあと徐冷する熱処理です。焼なましや焼ならしのように組織を軟化・均質化する処理とは異なり、すでに必要な硬さや組織を持つ材料にもかけられ、検査でも寸法(mm単位)への影響を最小限に抑えられます。[1] 残留応力を抱えたまま材料を大きく削ると、応力の釣り合いが崩れて反りや曲がりが出やすくなります。特に長尺・大径のシャフトや、片側に偏って肉を削り取る部品ほど、真直度や同軸度(mm単位)への影響が目立ちます。[2] 加工歪みは、残留応力の解放、切削熱による膨張収縮、クランプを外したときの戻りという3つの要因に分けて考える必要があり、応力除去焼鈍はこのうち残留応力側を工程の途中で断つための対策です。[3] 海外の熱処理技術資料でも、応力除去は曲げ加工や溶接、今回のような機械加工、鍛造といった工程で材料内部に生じた応力を低減する処理として位置づけられており、正しく行えば内部応力の90%以上を取り除けるとされています。工具や治具の設計を変えるのではなく、材質側を処理して対応する点が特徴です。[6]

Q. 応力除去焼鈍は工程のどこに入れるべきか?

A. 基本は粗加工と仕上げ加工の間ですが、全加工後に入れる例外もあります。[1][4] 残留応力は粗加工で材料を大きく削った直後に最も大きくなりやすいため、応力除去焼鈍は粗加工と仕上げ加工の間に挟むのが一般的な工程順です。仕上げ加工のあとに焼鈍をかけることも可能ですが、熱処理そのもので寸法がわずかに動く場合があるため、焼鈍のあとに最終検査の工程を置く必要があります。[1] 一方で、公開加工事例では異なる工程順も確認できます。銅材(C1020-O)の800×120×t20mmプレートでは、水平面の加工と穴加工、冷却路の加工まで一通りの機械加工を終えたあとに歪取り熱処理250℃×2hを挟み、そのあとに最終の平面度・位置度検査を行っています。この工程順で、平面度は0.1mmの要求を満たせなかった状態から0.06mmまで改善しました。[4] つまり「粗加工と仕上げ加工の間」という基本ルールと、「全加工後・検査前」という実例は、どちらも成立する工程順であり、部品の形状や求める公差によってどちらが適するかが変わります。[4] JIS B 6905の用語定義でも、応力除去焼なましは鋼製品の場合Ac1点(変態点)以下の適切な温度に加熱し、通常は炉内で徐冷する処理とされており、工程順そのものについての規定はありません。[5] 工程順の判断は規格では決まらず、この部品の形状がどうなっているか、公差がどれだけ厳しいか、材料が何かによって個別に決める必要があります。

Q. 温度・保持時間はどう決め、外注先には何を確認すべきか?

A. 材料ごとの目安温度をもとに、JISの用語定義に沿っているかを検査で確認します。[5][6] 海外の熱処理技術資料では、炭素鋼・合金鋼はおおむね500〜650℃(下部変態点より105〜165°F低い温度が目安)、保持時間は最大断面厚さ25mm(1インチ)あたり約1時間(30分〜2時間程度)、工具鋼は500〜550℃、熱間工具鋼・高速度鋼は600〜700℃、ステンレス鋼は290〜425℃が目安とされています。[6] 冷却は593℃までは比較的速く、そこから150℃までは緩やかに、150℃以下は自由に冷やしてよいとされ、急冷は材料に新たな残留応力を生む要因になるため避けるべきとされています。[6] 焼入れ焼戻し材に応力除去焼鈍をかける場合は、処理温度が焼戻し温度よりおおむね20℃以上低いことが目安になります。[8] 温度が高いほど残留応力は取れやすくなりますが、部品形状によっては変形のリスクも上がるため、板厚(mm)・形状に応じて温度を決める必要があります。[8] 外注先に確認する際は、JIS B 6905が定める用語「応力除去焼なまし(stress relieving / stress relief annealing)」を使い、処理温度がAc1点以下で徐冷条件を満たしているかを聞きます。[5] あわせて、機械加工で生じる残留応力は工程条件によって大きさも向きも変わり、統一した数値ルールがないため、[7] 自社部品と近い材料・板厚(mm)での処理実績と検査データがあるかを確認したほうが判断しやすくなります。

図面で見ておきたい条件

  • 残留応力の大きさや向きは、削る材料が鋼材かステンレスか銅かで変わるだけでなく、どの順序で削るか、切込みや送りをどう設定するかでも変わるため、統一した数値ルールはありません。応力除去焼鈍を挟むかどうかは、この部品の材料と加工順序を踏まえて個別に確認する必要があります。[7]
  • 応力除去焼鈍を仕上げ加工の後に入れると、熱処理そのもので寸法(mm単位)がわずかに動く場合があるため、焼鈍のあとに最終検査の工程を置く必要があります。[1]
  • 焼入れ焼戻し材に応力除去焼鈍をかける場合、処理温度は焼戻し温度よりおおむね20℃以上低い温度が目安になり、材料の板厚(mm)によっても調整します。[8]

相談前に知っておきたいこと

  • 応力除去焼鈍を挟んでも、歪みが完全になくなるわけではありません。金属積層造形(AM)部品のように熱履歴が複雑な場合、焼鈍後も反りの傾向が残ることがあります。[1]

関連するものづくりトピックス

業界での実機事例(参考)

C1020無酸素銅超電導ブスバーのマシニング加工の加工写真

C1020無酸素銅超電導ブスバーのマシニング加工

machiningmillingcuttingcopper

よくある質問

工程順をまだ決めていない段階でも、粗加工と仕上げのどちらの前かを相談できますか?+
できます。焼鈍の位置を決めるうえで最初に効くのは、公差の厳しい部位が真直度・同軸度・平面度のどれかという点です。図面が未確定でも、この公差の種類と、粗加工まで進んだ実物にすでに反りが出ているかどうかが分かれば、粗加工と仕上げの間に挟むか全加工後に回すかの見立ては先に立てられます。
応力除去焼鈍と焼なまし・焼ならしは同じ処理ですか?+
違います。応力除去焼鈍は変態点より低い温度で残留応力だけを取り除く処理で、焼なまし・焼ならしは変態点付近まで加熱して組織を軟化・均質化する処理です。すでに必要な硬さがある部品にも応力除去焼鈍はかけられます。
応力除去焼鈍を挟めば反りは完全になくなりますか?+
完全になくなるとは限りません。熱履歴が複雑な部品では、応力除去焼鈍のあとも反りの傾向が残ることがあります。焼鈍後の最終検査で、実際の寸法・平面度を確認する工程を前提にしてください。
銅材でも鋼材と同じ考え方で工程順を決められますか?+
考え方は共通ですが、目安温度は材質で変わります。公開事例の銅材プレートでは、全加工後に250℃×2hの熱処理を挟んでいます。材質ごとの目安温度は外注先と個別に確認してください。
外注先に伝える公差は、平面度・真直度・同軸度のどれを優先すべきですか?+
反りが心配な部位で実際に管理したい公差を優先してください。長尺・大径のシャフトなら真直度・同軸度、片肉が多いプレートなら平面度が判断の起点になり、[2]どちらを優先するかで、応力除去焼鈍を粗加工と仕上げのどちらの前に置くかの見立ても変わります。公差欄が図面上まだ空欄でも、反りが特に問題になっている面がどこかだけ伝われば、焼鈍を挟む位置から一緒に詰められます。
応力除去焼鈍の温度・時間を数値で保証してもらえますか?+
個別の数値保証は難しいです。材質、板厚、形状によって目安温度・保持時間が変わるためです。JIS B 6905の用語定義(Ac1点以下・徐冷)を満たしているかを確認したうえで、材質・板厚に応じた条件をすり合わせます。
応力除去焼鈍を全加工後に入れるべき部品の目安はありますか?+
公開事例では、柔らかい材質の大型プレートで、水平加工や穴加工まで終えたあとに焼鈍を挟み、最終検査前に寸法を仕上げています。形状が複雑で仕上げ後の寸法変動を避けたい部品では、この工程順を検討する価値があります。
長尺・大径シャフトでも同じ判断で工程順を決められますか?+
はい。長尺・大径や片肉除去が多い形状ほど残留応力の影響が真直度・同軸度に出やすいため、粗加工と仕上げ加工の間に応力除去焼鈍を挟む工程分割を優先的に検討します。
海外調達材でも応力除去焼鈍の工程を相談できますか?+
相談できます。海外調達材はミルシートや熱処理履歴が分かりにくいことがあるため、既知の熱処理状態と、追加で応力除去焼鈍が必要かどうかを合わせて確認します。
短納期案件でも応力除去焼鈍込みで対応できますか?+
対応できるかは工程数によります。応力除去焼鈍を挟む分だけ日数が必要になるため、短納期の場合ほど早めに工程順の相談をしてください。
既に反りが出た部品を、あとから応力除去焼鈍で直せますか?+
条件によります。すでに残留応力が解放された状態であれば効果が限定的な場合もあるため、現状の反り量、加工履歴、これまでの熱処理有無を教えてください。

あわせて読みたい情報

応力除去焼鈍の定義と工程内での位置づけ用語の定義そのものから理解したい人向け残留応力が加工精度に与える影響反り・歪みの発生メカニズムを先に理解したい人向け加工歪みの3つの発生要因残留応力以外の歪み要因(切削熱・クランプ戻り)も含めて見たい人向けステンレス大型部品の歪み対策(時効処理を含む工程順)SUS系で時効処理や溶接後加工を含む場合の工程順を見たい人向け事例: 銅製バスバーの歪取り熱処理と平面度改善本ページの判断軸を実機で当てはめた事例

参考事例・文献

外部資料

  1. [5] JIS B 6905:1995 金属製品熱処理用語(応力除去焼なまし)
  2. [6] Heat Treat Today: What Is Stress Relief and Why Perform It?
  3. [7] 大阪府立産業技術総合研究所報告: 機械加工による残留応力の発生原因と特徴

内部事例

  1. [4] 深江特殊鋼: 銅製バスバーの歪取り熱処理事例

設備・会社情報

  1. [1] Meta-Navi用語集: 応力除去焼鈍
  2. [2] Meta-Navi用語集: 残留応力
  3. [3] Meta-Navi用語集: 加工歪み
  4. [8] Meta-Navi コラム: 焼きなましとは?

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