レーザーマーキングとロット管理まで含めて金属部品を発注するとき、何を先に決めるべきか?
まず決めるのは、マークに何の情報を持たせるか、読み取り等級をどこまで求めるか、刻印と記録のどちらで部品を追跡するかの3点です。この3点が決まると、レーザーマーキングを工程に組み込むのか、材料ロットの証明と検査記録だけで足りるのかが切り分かります。[2][5]
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部品の材料規格、刻印したい内容、顧客から求められている読み取り等級、数量のうち、分かっているものだけメモにしてMeta-Naviのお問い合わせから送ってください。図面や具体的なアイデアがなくてもOK!刻印で追うのか記録で追うのかの切り分けから一緒に進められます。
まず確認すること
レーザーマーキングの発注では、刻印できるかどうかが分かっても条件は確定しません。確定しないまま残るのは、刻んだコードが機械で読めるかどうかです。直接刻印した2Dコードの印字品質はISO/IEC TR 29158で評価され、11項目の評価結果のうち最も低い等級が、そのままコード全体の等級になります。等級はAからFで、実務ではCグレード以上を求める例が多いとされています。[2] 10項目がAでも1項目がFなら、そのコードの等級はFです。しかも出荷時点で要求等級ぎりぎりだと、その後の取り扱いや腐食で読み取り性が落ちる分の余裕がありません。刻印時点では要求等級より高い等級で打っておくほうがよい、と技術資料も書いています。[2] つまり図面に書くべきなのは刻印の有無ではなく、母材の材料規格と要求等級、そして受入検査で誰がどの機器で読むかです。
納期が遅れやすいポイント
- 図面にレーザーマーキングとだけ書かれていて、文字を刻むのか2Dコードを刻むのか、読み取り等級の要求があるのかが読み取れない[2]
- 顧客からEUの電池規則を根拠に消えない表示を求められたが、どの部品まで対象になるのかを条文から判断できない[1]
- ロット番号を材料証明の紙で追うのか、部品そのものの刻印で追うのかが社内で決まっていない[5]
- 表面処理の前に刻印するか後に刻印するかでコントラストが変わるのに、見積り段階で工程順を詰めていない[2]
- 切削の発注先と刻印の発注先が分かれ、ロット番号の採番と記録の保管を誰が持つのかがあいまいになる[3]
Q. なぜ電池とエネルギー分野の部品でレーザーマーキングが指定されるのか?
A. 電池側の表示義務が消えないことを法令で求めており、その要求が部品の材料規格や検査項目と並んで図面へ降りてくるためです。[1] EUの電池規則第13条(7)は、ラベルとQRコードを電池に見やすく、判読でき、消えない形で印刷または刻印することを求めています。電池の性質や大きさから本体表示が難しい場合に限って、包装や添付文書へ移すことが認められています。[1] 恒久性が法文の要求である以上、貼りラベルや非恒久のインクでは満たせません。レーザーマーキングが候補に上がるのは、この恒久性の側の要求に合うからです。ただし母材の材料と表面状態で成立する刻印方式が変わるため、材料規格と刻印位置、文字高さ(mm)の確認が先に来ます。 期限も条文で決まっています。分別収集の記号は2025年8月18日から、附属書VI Part Aの一般情報と容量に関する表示は2026年8月18日から、QRコードは2027年2月18日からです。QRコードから参照する情報は、LMT用電池、2kWhを超える産業用電池、電気自動車用電池では電池パスポートにつながります。[1] 刻印を工程に入れるかどうかを決める時期は、この日付から逆算されます。材料手配から刻印、読み取り検査までを通す時間を差し引くと、量産の立ち上げはこの日付より前に置くことになります。 もっとも、規則はレーザーマーキングを指定していません。要求されているのは印刷または刻印であって、恒久性を満たす他の方法でも条文上は成立します。また名指しされているのは市場に置かれる電池そのものであり、電池パックの筐体やバスバーのような部品単体に同じ義務が直接かかるかは条文からは読み取れません。[1] 材料規格と要求される検査を先に確認したうえで、顧客の図面指示として何が求められているかを見ます。
Q. マークの品質は図面にどう指定すればよいのか?
A. コードの種類、要求する読み取り等級、セルサイズ(mm)、刻印方式の4つを、母材の材料規格とあわせて規格番号と数値で書きます。[2] 1つ目のコードの種類では、技術資料が直接刻印の対象として挙げているのは、DataMatrixと、Model 2のVersion 7以上のQRコードです。[2] 2つ目の読み取り等級では、規格番号(ISO/IEC TR 29158か、AIM DPM-1-2006のどちらの書き方か)と要求グレードを併記します。同じ刻印条件でも母材の材料と表面状態が変われば等級は動くので、材料規格と表面処理の指示は等級とセットで必要です。[2] 等級が問題になるのは刻印した直後ではなく、顧客の受入検査の時点です。 刻印方式は2つあります。黒(酸化)はビームの焦点を外して熱だけを与え、表面に酸化膜を作って黒く見せます。白(彫刻)は焦点を表面に合わせて微細な凹凸を刻み、光を乱反射させて白く見せます。[2] 母材の表面を削ってよいかどうか、後工程の表面処理や検査でコントラストが変わらないかどうかが、この選択に効きます。材料規格と表面処理の指示を図面へ書き添えると、方式の判断ができます。 寸法とタクトも指定の対象です。資料の例では、セルサイズ0.3mmの16x16構成のDataMatrixが示されています。同じコードでも塗りつぶしパターンの選び方でタクトが変わり、標準パターンで637ms、一筆書きに最適化したパターンで342msという測定値が出ています。[2] 1個あたり0.3秒弱の差でも、ロットサイズが大きければ工程時間の見積りに効きます。刻印後に読み取り検査を入れるなら、その時間も別に積みます。ただしこれは特定条件での1例なので、部品形状や材料、マーカ機種が変われば同じ値にはなりません。[2]
Q. 深江特殊鋼に相談する場合、どこまでが自社加工で、どこからが手配になるのか?
A. ロット番号の採番と、それを裏づける材料証明および加工後の検査記録は当社で持ちます。刻印そのものは当社の設備区分に無い工程なので、受け先を案件ごとに確認したうえで手配します。[4] 公開している設備は、BTA深穴機とガンドリルによる深穴加工から、フライス、マシニング、旋盤、研削、放電加工、切断、中ぐり、ラジアルボール盤、精密旋削までの11区分です。いずれも材料を削る工程で、部品の表面へ識別マークを残す設備はこの中にありません。協力企業の対応領域を見ても、マーキングや刻印という区分は挙がっていません。一覧に出てくるレーザーは溶接(TIG、MIG、レーザー)の欄のもので、マーキング用のマーカではありません。[4] そのため刻印を含む案件では、切削と刻印をまとめてご相談いただけます。ロット番号がどの工程で部品側に載るのかを、工程順とあわせて先に決めます。 一方、ロット管理の記録側は日常の運用の中にあります。ミルシートは素材メーカーが材料ロットごとに発行する材料証明で、材質記号、ロット番号、化学成分の分析値、引張強さや降伏点の試験値が記載されます。[5] 加工後の測定値、使用した測定器、測定日、検査員を記録するのが検査成績書で、ミルシートとは証明する対象が異なります。トレーサビリティが問われる案件では、この2つを同時に求められることが多くあります。[6] 材料ロットから最終部品までを追う運用は、宇宙機器部品向けの解説ページで具体的に書いています。材料証明の粒度がロット単位か代表値か、熱処理や表面処理や非破壊検査といった特殊工程を誰が管理しているか、記録を何年保管するかを、別々の軸として確認する形です。[3] 深江特殊鋼単体ではJIS Q 9100を保有しておらず、認証が必要な工程はグループ企業の由紀精密へ経路を分けています。[3] 刻印を含む案件でも、切削、刻印、検査、記録の担当がどこで分かれるかを先に決めます。
図面で見ておきたい条件
- 顧客がEU電池規則を根拠に消えない表示を求めている場合は、根拠にしている条項番号と適用開始日を、材料規格や検査項目と同じ欄に書いてもらってください。条文が対象にしているのは電池そのものなので、部品単体に何をどこまで求めるかは顧客の指示でしか決まりません。[1]
- 日本の法令やJISが同じ表示義務を課しているかは、この規則の条文からは判断できません。国内向けだけの部品にも同じ要求を広げるかどうかは、顧客の社内規定側で決まります。材料規格と納入先が分かると、どちらの話かが切り分けられます。[1]
- ISO/IEC TR 29158の要求グレードを満たせるかどうかは、材料の表面状態と刻印条件が決まってからでないと判断できません。合否は読み取り検査の実測で決まるため、試作の段階で等級を測っておくと量産で振れにくくなります。[2]
- 資料に示されたセルサイズ0.3mm、16x16構成のDataMatrix、標準パターン637msと最適化パターン342msという数値は、特定条件で測った1例です。部品形状や材料、マーカ機種が変われば同じ値にはなりません。[2]
- 刻印は当社の設備区分の外側で成立する工程です。公開しているのは材料を削る側の設備で、部品へ識別マークを入れるためのマーカは持っていません。協力企業の対応領域にもマーキングは挙がっておらず、一覧に出てくるレーザーは溶接(TIG、MIG、レーザー)の欄のものです。したがって刻印を含む案件では、ロット番号の採番と材料証明や検査記録の発行を当社が持ち、刻印そのものは案件ごとに受け先を確認したうえで手配する、という分け方になります。[4]
相談前に知っておきたいこと
- レーザーマーキングの工程単価と、要求されたISO/IEC TR 29158の等級を安定して満たせるかどうかは、材料規格、表面状態、マークの内容と寸法(mm)、数量が決まってから、受け先を確認したうえで回答します。[2][4]
- 深江特殊鋼単体ではJIS Q 9100を保有しておらず、認証が必要な工程はグループ企業の由紀精密へ経路を分けています。認証を前提にした検査記録が必要な案件では、担当が案件ごとに変わります。[3]
よくある質問
図面にマークの指示がまだ入っていない段階でも相談できますか?+
レーザーマーキングだけを単独で依頼することはできますか?+
要求されている読み取り等級が分からないときは、どう確認すればよいですか?+
支給材でも刻印とロット管理の相談はできますか?+
読み取り等級を優先するなら、刻印は表面処理の前と後のどちらに置くべきですか?+
水素関連の部品でも同じ考え方で確認できますか?+
試作1個で刻印と読み取り等級まで確かめられますか?+
初回の回答を早くするには、何を伝えればよいですか?+
既に他社へ出している案件の刻印だけを見直したい場合も相談できますか?+
記録は何年保管してもらえますか?+
JIS Q 9100が必要な案件でも受けられますか?+
海外の顧客向けに輸出する部品でも対応できますか?+
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参考事例・文献
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