工業用のチタンリング部品を精密加工に出すとき、発注前に何を確認すべきか?
まず、チタンリングの外径と内径、リング一個あたりの幅、内径側の公差指示、素材を丸棒から取るかプレートから取るかの4点を確認させてください。この4点が決まれば、旋盤で受けるかBTA深穴加工から入るかを含めて、対応可否と費用を回答します。[3][6]
Meta-Navi bridge
チタンリングの図面条件を送って相談する
外径、内径、リング一個あたりの幅、必要数量のメモがあれば十分です。図面や具体的なアイデアがなくてもOK!現時点の条件から確認します。
まず確認すること
チタンリングの図面を受け取ったとき、弊社が最初に見るのは公差の数字ではなく、リング一個あたりの幅と必要数量です。幅が狭く数量が多いほど、丸棒に穴を通してから輪切りにする取り方が効くためです。リング形状の加工素材をプレートからのコンター切断で手配している場合、少量なら妥当ですが、数量が増えると材料コストが割高になります。[3] そのうえで、チタン側の制約が重なります。熱伝導率が小さく刃先に熱がたまるため、工具材質の選び方と、穴あけ工程での切屑と熱の逃がし方が加工の安定に直結します。[1]
納期が遅れやすいポイント
- 図面の一般公差がJIS B 0405のどの等級で指示されているのか読み取れず、内径の許容差が何mmになるのか分からない[2]
- チタンは削りにくいと聞くが、リングの薄い肉厚でどこまで公差が詰められるのか判断できない[1]
- リング形状の加工素材をプレートからのコンター切断で手配してきたが、材料コストが割高になっている[3]
- 材質が純チタンになるのかTi-6Al-4Vになるのかがまだ決まっておらず、切削条件も納期も聞けない[7]
- 外径の大きいリングが旋盤に乗るかどうか、加工先の設備の対応径が分からない[6]
Q. チタンリングの素材は、丸棒から取るのとプレートから取るのでどこが変わりますか?
A. 材料コストと、内径を旋盤で作るか穴あけ工程で作るかが変わります。[3] リング形状の加工素材は、プレートからコンター切断で一枚ずつ抜く手配が多く、この方法は材料コストが割高になります。数量が多い場合は、丸棒にBTAで深穴を通してから長さ方向に切断すると材料費を抑えられます。[3] 弊社が公開している事例は、A5052とA5056の大径丸棒にΦ600の穴を通し、素材長さ300mmを切断したものです。[3] アルミでの事例であり、チタンでの実測値ではありません。ただし素材の取り方と材料コストの関係は材質が変わっても同じで、材料単価が高い材質ほど金額の差は大きく出ます。 丸棒から取る場合、内径は深穴加工で先に決まり、外径は旋盤で仕上げます。プレートから抜く場合は、内径も外径も切削で作ります。どちらを選ぶかで内径の真円度をどの工程で保証するかが変わるため、大型BTAマシンDBH25100S(φ600×13000mm)と超大型NC旋盤LTII(φ1200×15000mm)の対応寸法に図面を当ててから見積を出します。[6]
Q. 図面に個別の公差が入っていない寸法は、どの数値で見ればよいですか?
A. 図面の表題欄にJIS B 0405の等級指示があるかを先に確認します。[2] JIS B 0405は、削り加工で作る金属部品のうち、個別の公差指示がない長さ寸法と角度寸法に適用する一般公差を定めた規格です。等級はf(精級)、m(中級)、c(粗級)、v(極粗級)の4つで、図面には表題欄の近くに「JIS B 0405-m」のように記載されます。呼び寸法0.5mm未満の寸法は表の対象外で、個別の公差指示が要ります。[2] 等級が分かれば、リングの寸法ごとに公差の許容差が読めます。呼び寸法6mmを超え30mm以下なら、fで±0.1mm、mで±0.2mmです。30mmを超え120mm以下ならfで±0.15mm、mで±0.3mm、120mmを超え400mm以下ならfで±0.2mm、mで±0.5mmになります。[2] リングの縁に付く面取りは別表で、呼び寸法6mmを超える範囲はfで±1mm、mで±2mmと、長さ寸法より広く取られています。[2] ただし一般公差は、個別指示のない寸法に当てる既定値であり、それ自体が合否判定の基準ではありません。規格本文でも、一般公差を外れた寸法が部品の機能を損なわない場合には自動的に不合格としてはならない、と述べられています。[2] 受入検査の基準を決めるときは、相手部品と接するはめあい面や、シール面に当たる箇所へ個別の公差を入れておく必要があります。
Q. 弊社へ相談いただくとき、先に確認させていただくのはどこですか?
A. 材質グレード、リングの寸法と数量、公差と面粗度、検査の要求の4点です。[7] 材質は、純チタン1種や2種なのか、Ti-6Al-4Vなのかで切削条件が変わります。[7] チタンは熱伝導率が小さく切削熱が刃先にたまるため、鋼やアルミと同じ切削速度と送りをそのまま当てると工具摩耗が早まります。[1] 同じ公差と面粗度を出すのに必要な条件がグレードで変わるため、材質が未定のままでは加工時間も読めません。 寸法は、外径だけでなく内径と幅、必要数量まで合わせて確認します。社内の旋盤はφ1200×15000mmの超大型NC旋盤から、φ380×2000mmのミーリング付NC旋盤まであり、外径がどの機械に乗るかで工程と納期が変わります。[6] 公差と面粗度は、公開事例の水準と突き合わせます。Ti-6Al-4Vのφ250×L180mmのハウジングは、全寸法±0.02mm、Ra0.8で月産5個、25営業日でした。[5] 同じくTi-6Al-4Vのφ8×L320mm丸棒にφ4×300mmの中空穴をガンドリルで通した例は、公差H8、Ra0.3、100本を15営業日で納めています。[4] どちらもリング形状ではありませんが、チタンでこの範囲の公差と面粗度を扱った記録として、図面の要求水準がどのあたりにあるかの目安になります。 穴あけを伴う工程では、加工した穴にドリル自体が入っていくため切削熱がたまり、切屑が溝部に密着することがあります。この対策としてステップフィードやオイルホール付きドリルを使う判断になります。[1] 検査は、三次元測定が要るか、寸法検査記録の提出が要るかを先に決めておくと、初回の回答が早くなります。[5]
図面で見ておきたい条件
- リングの内径と外径、幅、そして一度に何個必要かを合わせて教えてください。丸棒に深穴を通してから長さ方向に切り分ける取り方では、一本の素材から同じ内外径のリングが複数個取れるため、数量が増えるほど一個あたりの材料費が下がります。プレートから一枚ずつ抜く取り方は、少量なら妥当ですが数量が増えると割高になります。[3] 数量が決まれば、素材長さ何mmの丸棒から何個取るかまで計算できます。
- 肉厚と要求公差を合わせて教えてください。チタンは縦弾性係数が鋼のおよそ2分の1で、切削力を受けた素材自体がたわむため、薄肉のリングでは加工中の変形やびびりがそのまま精度低下につながります。[1] 肉厚が薄い図面ほど、チャッキング方法と仕上げ代の残し方を先に決める必要があります。内径と外径を一度の段取りで仕上げるか、荒加工と仕上げを分けて掴み直すかも、この肉厚と要求公差の組合せから決めます。分けて掴み直せば、たわみが戻ってから仕上げ代を削れる一方、内径と外径の同軸度は段取りごとの精度に左右されます。同じ理由で保持のしかたによって測定値も動くため、検査の測定方法まで含めて決めます。
- 内径を穴あけ工程で作るのか、旋盤の中ぐりで作るのかを確認します。公開事例では、Ti-6Al-4Vのφ8×L320mmの丸棒にφ4×300mmの中空穴をガンドリルで通し、公差H8、面粗度Ra0.3で仕上げています。[4] 内径がこの範囲に近い細い穴なら穴あけ工程から、大径なら旋盤から入る判断になります。
相談前に知っておきたいこと
- 弊社が公開しているチタンの加工事例は、ハウジング、スピンドル、ロッド、インプラントです。[4][5] 外径、内径、肉厚、要求公差が決まれば、対応可否と費用を回答します。
- チタンリングの切削速度と送りの数値は、材質グレードと熱処理状態、肉厚が決まってから算出します。工具材質としては耐摩耗性に優れた超硬合金K10、断続切削には耐欠損性に優れたK20が適するとされていますが[1]、実際の条件は図面と数量を見てから決めます。
- 社内で最大の超大型NC旋盤LTIIでφ1200×15000mmまでのため、外径がこれを超えるリングも、寸法を含めて対応可否と費用を見積もります。[6]
関連するものづくりトピックス
業界での実機事例(参考)

Ti-6Al-4V医療用ロッドのガンドリル加工

Ti-6Al-4V航空機用ハウジングの5軸加工
よくある質問
図面がまだ無くても相談できますか?+
材質が純チタンかTi-6Al-4Vか決まっていなくても見積は出ますか?+
装飾用の指輪も加工してもらえますか?+
材料の手配もお願いできますか?+
内径だけ、外径だけといった一部工程の依頼はできますか?+
1個だけの試作でも受けてもらえますか?+
薄肉のリングで真円度が出るか心配です。どう判断しますか?+
医療向けや航空機向けの規格が要る案件も相談できますか?+
納期はどのくらいかかりますか?+
既存の外注先で寸法が安定しない案件も相談できますか?+
見積を依頼するとき、何を送ればよいですか?+
あわせて読みたい情報
参考事例・文献
外部資料
内部事例
- [3] BTA・ガンドリル加工.COM: A5052、A5056製 大径丸棒 BTA加工+切断品
- [4] 事例: Ti-6Al-4V医療用ロッドのガンドリル加工
- [5] 事例: Ti-6Al-4V航空機用ハウジングの5軸加工
このページの情報は役に立ちましたか?