チタンパイプの加工と製缶を外注するとき、何を先に確認すべきか?
先に決めていただきたいのは、外径と肉厚、そして既製の継目無管を切って使うのか、丸棒や鍛造ビレットから削り出すのかです。この3点が決まれば、そのチタンパイプを弊社のBTA深穴加工で受けるか、溶接を持つ協力企業へ回すかを、材料の手配も含めて回答します。[1][3]
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チタンパイプの条件を送って相談する
外径、肉厚、長さ、本数、流体と温度のメモがあれば十分です。図面や具体的なアイデアがなくてもOK!現時点で決まっている条件から確認します。
まず確認すること
同じ「チタンパイプ」でも、肉厚に許される幅は、規格の管を買う場合と削り出す場合とで数倍違います。JIS H 4630の継目無管では、冷間加工で厚さ2mmから10mmの厚さ許容差が厚さの±20%、外径40mmから80mmの範囲でも±10%です。[1] 一方、弊社がパイプ部品の目安として置いている肉厚偏差は±5%、内径はH8からH9です。[3] 前者は管の形を作る工程のばらつきをそのまま許容差にした数値で、後者は素材に穴をあけ、内径を測りながら仕上げた場合の数値です。図面の肉厚指示がどちらの前提で書かれているかで、買う経路と削る経路のどちらへ進むかが分かれます。
納期が遅れやすいポイント
- 外径と肉厚は決まっているが、既製の継目無管で足りるのか、丸棒から削り出す必要があるのかを判断できない[1][3]
- 図面に肉厚公差の指示はあるが、規格の厚さ許容差(冷間加工で厚さの±20%)を当てたときに必要な肉厚偏差が残るかを確認していない[1]
- 溶接を伴う製缶まで頼みたいが、チタンの溶接で裏面のシールドをどう取るかを聞く相手がいない[2]
- 純チタン1種から4種、Pd添加の11種、α-β合金61種まであり、発注書にどの種類記号を書くかが決まっていない[1]
- 内面の面粗度と真直度の指示はあるが、どの工程で出る数値なのかが分からない[3][4]
Q. 既製の継目無管を切って使うのと、丸棒から削り出すのは、どこで分かれますか?
A. 外径と肉厚が規格の標準寸法に収まるか、そして必要な肉厚偏差と内径公差が規格の許容差で足りるかで分かれます。材料の入手性と検査要求も同じ表で見ます。[1][3] JIS H 4630は、熱交換器以外に使う断面が円形のチタン継目無管を対象に、純チタン1種から4種、Pd添加の耐食合金、α合金、α-β合金まで23種類の種類記号を定めています。[1] 附属書に載る標準寸法は外径10mmから80mm、厚さ1.0mmから10.0mmの範囲で、外径25.4mmなら厚さ1.0mmから5.0mmが挙がっています。[1] この範囲に収まり、許容差も足りるなら、材料として管を買い、必要な長さに切る経路のほうが工程は短くなります。 外径や肉厚がこの範囲から外れる場合、あるいは肉厚の偏差を規格より詰めたい場合は、丸棒や鍛造ビレットから内径を削り出す経路になります。弊社がパイプ部品の目安として置いているのは、内径H8からH9、外径±0.2mm、肉厚偏差±5%、真直度1mm/m、内面Ra1.6、内部欠陥の超音波探傷です。[3] 深穴加工機の対応径はφ20からφ600、最大深さは13,000mmで、L/D比は100を超える領域まで入ります。[4][6] 近い形状の公開事例は、チタンではなくインコネル625です。エネルギー設備用の配管部品で、外径φ90、長さ1,600mmの素材に内径φ60を深さ1,500mmまで貫通させ、公差H8、内面Ra1.6、数量10本、納期20営業日で納めています。[5] インコネル625はチタンとは別の合金系です。削り出しの場合に寸法と公差をどこまで指示できるかの目安として見てください。[5] 検査の指定は、規格が全数と抜取りを分けている点を踏まえると書きやすくなります。JIS H 4630では、気密性試験(空圧なら0.6MPaから1.0MPaを加えて水中に5秒以上保持)と非破壊検査(渦流探傷JIS H 0515または超音波探傷JIS H 0516)が全数、引張試験はのべ長さ300mごとに1本の抜取りです。[1] 61種(Ti-3Al-2.5V)だけは耐圧試験が全数で加わり、試験圧力と保持時間は受渡当事者間の協定によります。[1] 図面に全数検査とだけ書かれている場合は、どの試験を指すのか、材料側の試験成績書で足りるのかを先に確認します。
Q. 溶接方法は、何を基準に決まりますか?
A. 肉厚で決まる部分が大きく、約2mmを境に、単層のTIG溶接で通るか、開先加工と溶加材を伴う多層溶接やプラズマアーク溶接へ移るかが変わります。どの方法でも、シールドの取り方は別に確認します。[2] 板厚が増えると、溶接速度と電流の適正な組合せが狭まります。試験では、板厚1mmでの上限溶接速度が約4.0m/min、板厚2mmでは約1.0m/minまで下がっています。[2] 入熱が足りなければ溶け込まず、多すぎれば溶融池を保てないという幅が、厚みとともに詰まるためです。約2mmを超えるチタン板は単層のTIG溶接では溶接しにくく、開先加工と溶加材の供給を伴う多層TIGになります。[2] プラズマアーク溶接なら約10mmまで単層で溶接できますが、ノズル径、センターガス流量、ノズルと材料の距離といった管理項目が増え、開先精度もより求められます。[2] 溶接方法と同じくらい、シールドの取り方を確認します。チタンの溶接では、トーチのシールドガスだけでは酸化を防ぎきれず、トーチ後方のアフターシールドと、溶接部の裏側の裏面シールドの両方が要ります。[2] 連続式のチタン管の製造ラインでは、溶接部全体を簡易チャンバーで密閉してシールドを確保している例が挙げられています。[2] 管の裏面は内面ですので、内面をどう置換するかは、TIGでもプラズマでも聞いておく項目になります。 MIG溶接を提案された場合は、シールドガスと溶接欠陥を確認します。チタンのMIGでは通常ヘリウムが要り、安価な純アルゴンに替えるとアークが不安定になります。[2] アルゴンに酸素を約2%混ぜるとアークは安定しますが、溶接金属の機械的性質が落ち、ガス代は純アルゴンの2倍以上になります。[2] また、母材表面の酸化被膜から電子が一様に出ないためにアークが流れ、ビードが乱れるワンダリングという欠陥が知られています。振幅1mm程度で数十Hzの微振動をトーチに与えると抑えられると報告されていますが、そのための装置が要ります。[2]
Q. 深江特殊鋼に相談したとき、どこまでが自社で、どこからが手配になりますか?
A. 丸棒や鍛造ビレットからのBTA深穴加工と、外径や端面の仕上げまでが自社設備の範囲です。曲げと溶接を伴う製缶は、材料の手配とあわせて協力企業ネットワークへ回します。[6][7] 設備一覧では、溶接(TIG、MIG、レーザー)を自社設備の区分ではなく、国内300社超の協力企業ネットワークで対応できる加工として載せています。[6] 会社概要の事業内容も、特殊鋼と一般鋼材の販売、BTA深穴加工、ガンドリル加工、マシニング、旋盤、フライス、研削加工までで、溶接は入っていません。[7] 加工と製缶をまとめて出していただいて構いません。溶接を含む工程がどの範囲になるかは、見積の時点でお伝えします。[6] 自社設備の側は、深穴加工機4台で対応径φ20からφ600、最大深さ13,000mmの範囲です。[6] BTA深穴加工のページでは、チタンが対応材料に、パイプが対応部品に入っており、用途例にプラント配管用の穴加工が挙がっています。[4] 一方、公開している切削条件表の材質はS45C、SCM440、SUS304、SUS630、インコネル718、SKD11の6つで、チタンの行はありません。[4] チタンで数値条件を公開しているのは、5軸加工の切削速度65m/min、送り0.05mm/刃、クーラント圧7.0MPaです。[8] 弊社は1964年設立で、BTA深穴加工は1975年から続けており、従業員120名、協力企業は300社超です。[7] 航空宇宙や医療のように認証が要る案件では、JIS Q 9100を持つグループ企業の由紀精密を含めて工程を組みます。[8] チタンパイプの用途、種類記号、肉厚、要求精度と、材料が支給か手配込みかが決まれば、対応可否と見積を回答します。[8]
図面で見ておきたい条件
- 肉厚は溶接方法の分かれ目でもあります。試験では板厚1mmでの上限溶接速度が約4.0m/min、板厚2mmでは約1.0m/minまで下がり、厚くなるほど電流と速度の適正な組合せが狭まります。[2] ただしこの数値は平板の試験結果で、管の円周溶接に同じ数値が当てはまるとは示されていません。[2]
- チタンは溶接部が高温のまま酸素に触れると性質が変わるため、トーチのシールドガスだけでは覆いきれず、トーチ後方のアフターシールドと溶接部裏側の裏面シールドの両方が要ります。[2] 管では裏面が内面になりますので、内面をどう置換するかを溶接方法と一緒に確認します。[2]
- 熱交換器用のチタン管は、JIS H 4630の適用範囲から明示的に外れており、別の規格が当たります。[1] 用途が熱交換器なら、参照する規格と検査項目を先に確認します。また溶接管は継目無管とは別規格で、外径と厚さの許容差の区分が異なります。[1]
相談前に知っておきたいこと
- 曲げと溶接を伴う製缶は、弊社の自社設備の範囲外です。設備一覧では溶接(TIG、MIG、レーザー)を国内300社超の協力企業ネットワークの能力として載せており[6]、会社概要の事業内容にも溶接は入っていません[7]。自社設備だけで完結して回答できるのは、丸棒や鍛造ビレットからの深穴加工と、外径や端面の仕上げまでです。
- BTA深穴加工で公開している切削条件表の材質は、S45C、SCM440、SUS304、SUS630、インコネル718、SKD11の6つで、チタンの行はありません。[4] チタンで数値条件を公開しているのは5軸加工の切削速度65m/min、送り0.05mm/刃、クーラント圧7.0MPaで、これはマシニングセンタでの条件です。[8] チタンパイプの内径をどの条件で削るかは、種類記号と肉厚と要求精度が決まってから出します。
関連するものづくりトピックス
業界での実機事例(参考)

インコネル625エネルギー設備用配管のBTA加工
よくある質問
図面がまだない状態でも相談できますか?+
材料は支給と手配込みのどちらでも相談できますか?+
種類記号がまだ決まっていない場合は、何を伝えればよいですか?+
加工と溶接をまとめて1社に出せますか?+
曲げ加工も相談できますか?+
溶接後の熱処理は必要ですか?+
熱交換器用のチタン管も同じ相談でよいですか?+
見積依頼の時点で納期の目安は分かりますか?+
既存の外注先で溶接部に問題が出ている案件も相談できますか?+
1本だけでも相談できますか?+
検査成績書はどこまで出せますか?+
あわせて読みたい情報
参考事例・文献
内部事例
- [5] 事例: インコネル625エネルギー設備用配管のBTA加工
設備・会社情報
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