金属積層造形(金属3Dプリント)品の後加工、機械加工と穴あけで何を確認すべきか?
結論から言うと、金属積層造形(金属3Dプリント)品の後加工は、面粗度の実測値、穴の位置精度、薄肉部の削り代という3つの数値を、機械加工と穴あけの発注前に確認すべきです。[1]
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図面や具体的なアイデアがなくてもOKです。AM方式、材質、穴の位置や深さなど、決まっている条件から相談できます。
まず確認すること
最初に確認すべきなのは、後加工そのものの可否ではなく、AM段階でどこまで削り代を見込んでいるかです。金属積層造形はレイヤーごとに材料を重ねる方式のため、階段状の面が残り、後加工なしでは公差やシール面の要求に届かないことがあります。[1] 深江特殊鋼(BTA・ガンドリル加工.com)では、AM代表材のチタン・インコネル718を精密加工した実績と、AM見積りと切削加工のコストを比較した実例があります。[2][6] AM品そのものの後加工は、図面と材質が決まってから対応可否と費用を回答します。後加工の要否は、AM段階の面粗度実測値と機械加工後に必要な仕上げRaとの差、そして穴の軸がビルド方向とどれだけずれているかで見極められます。
納期が遅れやすいポイント
- AM(金属3Dプリント)で作った部品の穴が、図面公差に入らない[1]
- 面粗度が要求値に届かず、後加工の工程数や追加コストが読めない[1]
- 内部通路や薄肉形状があり、機械加工でどこまで削れるか判断できない
- AM品は通常材と同じ切削条件で削れず、最初の一刀目で工具や精度が乱れる[2]
- AM単独の見積りと、後加工まで含めた総コストを比較しにくい[1]
Q. AM(金属積層造形)の金属部品は、なぜ後加工(機械加工)が必要になるのか?
A. レイヤーごとに材料を積み上げる方式のため、階段状の表面が残り、そのままでは面粗度が図面要求に届かないからです。[1] 金属積層造形はレーザーで金属粉末を層ごとに溶融・積層する方式で、層の境目が階段状に残り、面粗度が機械加工品より粗くなりやすい材料です。[1] このため、はめ合いが必要な穴やシール面、摺動面には、後加工(機械加工、研削、穴あけ)を前提に設計するケースが多くなっています。 後加工の比重は小さくありません。金属AM部品のコストのうち、後加工がおよそ27%を占めるという報告もあります。[1] つまり、後加工を後回しにして図面を確定すると、部品単価そのものを読み違える可能性があります。 穴の後加工では、ホーニングで内径をサブミクロン級まで追い込める一方、内部通路や隠れた面ほど工具が届きにくく、外側の面より仕上げにくい傾向があります。[1] このため、穴あけ・仕上げの可否は、穴の位置と方向をAMのビルド方向と合わせて確認する必要があります。
Q. AM品を機械加工・穴あけに出すと、通常材と同じ条件で削れるのか?
A. いいえ。同じ切削速度・送りでも、AM材は残留応力と未加工面の粗さの影響で切削抵抗や安定性が変わります。[2] NISTの検証では、レーザー粉末床溶融で作ったステンレス鋼(17-4PH相当)を、鍛造材と同じ切削速度・送りで旋削したところ、切削抵抗が約19%、スラスト力が約11%高くなりました。[2] 高周波の振動も鍛造材より大きく、切削が安定しにくいという結果です。 特に、AMの未加工面(ビルドしたままの外側)に最初に工具を入れる一刀目は、表面粗さと振れの影響で力が不安定になり、外側の粗い層を削り切ってからでないと安定しません。[2] AM部品を機械加工に出す場合は、粗加工(スキン層の除去)と仕上げ加工を分けて考える必要があります。 チップの巻き方にも違いが出ます。ビルド時の残留応力が解放されるため、チップが横方向に曲がる現象が確認されており、応力除去焼鈍を行ってもこの傾向は完全には消えません。[2] ただしこの結果はステンレス鋼を旋削した予備的な試験のもので、チタンやインコネル、ドリル加工そのものに同じ数値が当てはまるとは確認されていません。[2]
Q. 発注前に何を確認すれば、後加工の可否と追加コストが見えるか?
A. 面粗度の実測値、穴の位置精度・方向、薄肉部の有無、材料証明の4点です。[1] まず、AM段階での面粗度(Ra)の実測値と、機械加工後に必要な仕上げ面粗度の差を確認します。段差が大きいほど、粗加工の工程数が増えます。[1] 次に、穴の位置精度と方向です。AMのビルド方向と穴の軸がずれていると機械加工での基準出しが難しくなり、内部通路や隠れた穴ほど工具が届きにくくなります。[1] 穴あけを前提にするなら、後加工用のクランプしろや基準面を、AM段階の設計に先に組み込んでおく必要があります。 薄肉部・エッジも確認対象です。薄肉やエッジ形状は後加工時の圧力で欠けやすく、機械加工代(削り代)の設計に直結します。[1] 図面上、薄肉部にどれだけ機械加工代を残しているかを発注前に聞いておくと手戻りが減ります。 調達・検査の枠組みも整理しておく価値があります。ISO/ASTM 52901は、AM部品の発注時に、形状、公差、表面粗さ、後加工の範囲、検査要求、受入基準を、発注者と加工先の間で明文化する項目を定めた規格です。[3] ただし規格自体は具体的な公差値や面粗度の基準値を定めておらず、個別に取り決める前提です。[3] 深江特殊鋼では、AM代表材であるチタン・インコネル718を公差±0.02mmクラスで精密加工した実績と、AMの見積りと切削加工のコストを比較した実例があります。[4][6] AM品そのものの後加工については、図面と材質、AM段階の実測値が揃ってから対応可否と費用を回答します。
図面で見ておきたい条件
- AM品そのものの後加工は、図面と材質、AM段階の実測値が決まってから対応可否と費用を回答します。判断材料は、AM代表材(チタン・インコネル718)の材質データと精密加工実績[4][5]です。あわせて、AM代替として切削加工を選んだ実例[7]も参考になります。
- AM材の切削抵抗・振動に関する数値データは、ステンレス鋼(17-4PH相当)を旋削した予備的な試験に基づくもので、チタンやインコネル、ドリル加工にそのまま当てはまるとは限りません。[2]
- ISO/ASTM 52901は発注時に取り決めるべき項目(形状、公差、後加工範囲、検査要求)を定めた規格であり、具体的な公差値や面粗度の基準値は個別に取り決める前提です。[3]
業界での実機事例(参考)

SKD61プラスチック金型コンフォーマル冷却ガンドリル加工

Ti-6Al-4V航空宇宙用ハウジングの5軸加工

インコネル718航空宇宙用ハウジングの5軸加工
よくある質問
図面がまだ確定していなくても相談できますか?+
使ったAM方式(SLM、DMLS、EBMなど)が分からなくても相談できますか?+
AM(金属積層造形)品そのものの後加工実績はありますか?+
AM品と通常材(鍛造・圧延材)で、見積り時に何が変わりますか?+
穴あけだけを別途依頼することはできますか?+
薄肉部があると後加工を断られることはありますか?+
短納期の試作でも対応可否を見てもらえますか?+
AM品の検査要求(公差・表面粗さの証明)にはどう対応しますか?+
チタンやインコネル以外のAM材料(アルミ、マルエージング鋼など)でも相談できますか?+
海外で積層造形した部品を国内で後加工することはできますか?+
AMと切削加工、どちらを選ぶべきか自体を相談できますか?+
あわせて読みたい情報
参考事例・文献
外部資料
- [1] MDPI Materials: Recent Research Progress in the Abrasive Machining and Finishing of Additively Manufactured Metal Parts
- [2] NIST: Post-Process Machining of Additive Manufactured Stainless Steel
- [3] ISO/ASTM 52901:2017 — Additive manufacturing — General principles — Requirements for purchased AM parts
内部事例
- [6] 深江特殊鋼 公開加工事例(チタン・インコネル718、航空宇宙分野)
- [7] 深江特殊鋼 公開加工事例: SKD61金型コンフォーマル冷却ガンドリル加工
設備・会社情報
- [4] 深江特殊鋼 材料データ: チタン
- [5] 深江特殊鋼 材料データ: インコネル
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