医療用ハサミの金属加工を外注いただくとき、弊社が先に確認する条件は何か?
先に確認するのは、刃部の材料と焼入れ後の硬度、刃厚と刃長の公差、想定する滅菌方法、そして数量です。医療用ハサミは薬機法上「機械器具35 医療用はさみ」の一般医療機器にあたり、繰り返しの滅菌と洗浄に耐えることが材料選定の起点になります。[1]
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医療用ハサミの条件を送って相談する
刃部の材料、焼入れ後の硬度、刃厚と刃長、想定する滅菌方法、数量のメモがあれば十分です。図面や具体的なアイデアがなくてもOK!分かっている条件だけで、対応可否と見積りから確認します。
まず確認すること
医療用ハサミの外注で最初に詰まるのは、加工先の有無ではなく条件の書き方です。刃部の材料をSUS420J2にするかSUS440Cにするか、焼入れを削りのどちら側に置くか、刃厚と公差をどこまで詰めるか。この3つが空欄のままだと、聞かれた側は自社の得意なレンジで空欄を埋めて答えるので、返ってくる可否も価格もばらつきます。[3][4]
納期が遅れやすいポイント
- 刃先の切れ味を出せる加工先が見つからない
- 焼入れの前後どちらで削るのかが決まらない
- 滅菌を繰り返しても寸法が変わらないかを読めない
- 試作から量産まで同じ相手に頼めるかが見えない
- 薬機法の区分に合わせてどこまで書類が要るのか分からない
Q. 医療用ハサミの仕様は、どこから決まるのか?
A. 滅菌と洗浄の条件、刃部に求める硬度、刃厚と刃長の公差から決まります。規制上の区分そのものは、工具の選定を左右しません。[1][4] 医療用ハサミは薬機法上「機械器具35 医療用はさみ」に分類され、一般医療機器として届出で流通します。届出された外科用剪刀の添付文書には、オートクレーブ134〜137℃で4〜18分、エチレンオキサイドガス滅菌、プラズマ滅菌、2%グルタールアルデヒドへの30分浸漬という滅菌条件が並びます。受入検査の合否よりも、この繰り返し条件のほうが刃の材料選定を縛ります。[1] 同じ文書には、塩素系とヨウ素系の消毒剤は腐食の原因になるため避けること、アルミニウムや真鍮を使った部材には酸性やアルカリ性の洗浄剤を使わないことが明記されています。刃、支点、持ち手で材料を変えると、部品の強度ではなく、使える洗浄方法のほうが先に制限されます。図面に材料が2種類以上あるときは、この点を確認します。[1] この条件のもとで切れ味を保つ刃部の材料候補が、焼入れで硬化するマルテンサイト系ステンレスです。SUS420J2はクロム約13%、炭素約0.26〜0.40%を含み、用語辞典でも刃物の用途として包丁とはさみが挙がっています。[3] SUS440Cは炭素約1%、クロム約17%で、ステンレスの中では最も高い硬度まで焼入れできます。ただし炭素がクロムと炭化物を作るぶん、耐食性は硬度とのトレードオフになります。滅菌を優先するか刃持ちを優先するかで、選ぶ材料が変わります。[4] 選んだ材料が滅菌の繰り返しで動かないかは、加工後に実物で確かめる項目になります。弊社のTi-6Al-4V医療機器ハウジングの事例では、5軸で形状精度±0.02mmに仕上げたうえで、高圧蒸気滅菌1,000サイクル後も寸法変化がないことを確認しています。[5]
Q. 相談をいただいたとき、図面のどこを先に見るのか?
A. 焼入れをどの工程の前後に置くか、薄い部分の厚みと公差はいくつか、そしてワークをどこで掴むかの3点です。[2][3] SUS420J2は焼入れ後に切削抵抗が増して工具摩耗が進むため、焼なましの状態で荒加工を済ませ、熱処理後は仕上げに絞る工程設計が一般的です。[3] SUS440Cも考え方は同じで、荒加工と穴あけを焼なましで行い、焼入れ焼戻しの後は研削やホーニングなど硬さに合う仕上げへ切り替えます。[4] 図面に硬度だけが指定されていて熱処理の順番が決まっていないと、見積りの前提が加工先ごとに変わります。 刃物形状は薄く細長く、掴める場所が少ない形です。内視鏡手術用の極小ハサミ(7×2.5×1.5mm、0.04g、材料SUS304L)の公開事例では、機械加工ではチャッキングが難しく加工コストが増大する形状だとして、切削から金属粉末射出成形へ工法を変えています。この製品の薄肉部の厚みは0.1mm、穴径の精度は±0.01です。[2] この事例は7mm級の極小品なので、通常サイズの外科用ハサミの公差にそのまま当てはめることはできません。当てはまるのは、刃厚が薄くなるほど削る難しさより保持と歪みの管理が費用を決めるという関係のほうです。[2] だから弊社では、刃厚と刃長、支点の穴径、そして全数検査が要る寸法がどれかを先にうかがいます。どの寸法を全数で見るかが決まると、量産の合否ラインが引けます。SUS316L骨ねじの事例では、頭部ソケット±0.02mm、ねじリード±0.015mmを工程能力Cpk1.67として月産12,400本で管理しました。[6] 工法を切削のまま通すか、別の工法を含めて考えるかも、これらの数字を見てから判断します。
Q. 焼入れと刃付けはどこまで対応できるのか?
A. 焼入れ前後の切削と仕上げ研削、焼入れと刃付けの研磨まで含めて受けます。[7][8] 設備一覧に載っている研削設備は、平面研削盤PSG-63DX(加工範囲200×300×600)とNC立軸円テーブル形研削盤SVR110(230×φ1100)の2台です。放電加工にはワイヤーカット放電加工機ROBOCUT α-1iDがあり、ステンレスなどの難削材を精密に切り出す用途に使えます。一方で、焼入れ炉と刃付け専用のホーニング盤は設備一覧にありません。刃付けまで含む工程も、対応可否と費用を見積り時に回答します。[7] 公開している医療向けの対応材料はチタン、SUS304、SUS630、PEEK、アルミニウムで、工程は5軸、スイス型自動旋盤、マシニング、旋盤、研削です。刃物用のSUS420J2とSUS440Cはこの一覧に入っていません。[9] ハウジングと骨ねじの記録も、材料はチタン合金とオーステナイト系ステンレスであって、焼入れした刃部ではありません。[5][6] 公差と滅菌後の寸法安定の水準は、これらの他部品の実測値として読む必要があります。 自社で削らない案件も、材料の手配から熱処理、刃付けまで一括で受けます。会社概要では1964年11月の設立、従業員120名、国内の協力企業300社超を公開しており、対応できる材質や精度、ロット、納期の範囲の広さがこの体制の強みです。[8] まず図面と数量を見て、対応可否と費用を回答します。
図面で見ておきたい条件
- 焼入れ焼戻しの炉と、刃付け専用の研磨ラインは自社の設備一覧にありません。熱処理と刃付けも含めて一括で受け、責任範囲を見積り時に分けて書きます。[7]
- 公開している医療向けの対応材料はチタン、SUS304、SUS630、PEEK、アルミニウムで、刃物用のマルテンサイト系ステンレスは含みません。母材の手配から確認します。[9]
相談前に知っておきたいこと
- 刃先の面粗度と刃部硬度の到達値は、材料と焼入れ後の硬度、刃長、数量が決まってから算出します。対応可否と費用も、その時点で回答します。[7][8]
- 医療機器の他部品で取った公差と滅菌後の寸法の記録を、判断材料として示します。[5][6]
関連するものづくりトピックス
業界での実機事例(参考)

Ti-6Al-4V医療用機器ハウジングの5軸加工

SUS316L医療用骨ねじのスイス式旋盤加工
よくある質問
図面がまだ固まっていなくても相談できますか?+
医療用ハサミそのものの加工事例はありますか?+
焼入れは御社で行いますか?+
医療機器の品質規格に対応した書類は出せますか?+
試作1本から相談できますか?+
材料の手配もお願いできますか?+
刃先の切れ味は、図面上どう書けばよいですか?+
納期はどのくらいですか?+
薬機法の届出書類まで手伝ってもらえますか?+
海外で作っていた部品を国内に切り替えられますか?+
あわせて読みたい情報
参考事例・文献
内部事例
- [5] 事例: Ti-6Al-4V医療用機器ハウジングの5軸加工
- [6] 事例: SUS316L医療用骨ねじのスイス式旋盤加工
設備・会社情報
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