ジュラコン(POM)部品の加工を外注するとき、金属材料と同じ工具や公差の考え方で判断してよいか?
同じ考え方では判断できません。まず、材質グレード、要求公差、そして金属向けの工程がそのまま使えるかを分けて確認します。ジュラコン(POM)はエンジニアリングプラスチックのため、BTA深穴加工、熱処理、EDM、研削は工程として成立せず、切削での仕上げが前提になります。[5]
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図面や具体的なアイデアがなくてもOK! ジュラコン(POM)部品の外注可否で迷うなら、Meta-Navi の樹脂加工記事を入口にして、材質グレードと公差の整理はこのページで進めてください。とりあえず相談してみる形でも、条件の切り分けから始められます。
まず確認すること
最初に確認すべきなのは、ジュラコン(POM)が削れるかどうかではありません。樹脂の切削で一般に目安とされる公差は±0.01〜0.05mmで、加工方式としては1/100mm単位まで踏み込めるとされています。[2] ただし樹脂加工には、金属加工のようにJISやISOで統一された一般公差が定められておらず、どこまで詰められるかは受け側の工具選定と工程設計に依存するのが現状です。[2] そのため図面に一般公差だけを書いて出すと、社内で想定した精度と、返ってくる見積の前提がそろわないまま話が進みます。
納期が遅れやすいポイント
- 金属部品と同じ一般公差の指定のまま、樹脂加工へ図面を出してよいか判断がつかない[2]
- ジュラコン(POM)で現実的に指定できる公差の水準が、社内の設計基準にない[2]
- 切削後の反りや寸法変化への対策工程を、図面のどこに書けばよいか決まっていない[2]
- 材料の手配から加工、検査までを一括で任せられるかが読めない[3]
- 金属向けの工程しか持たない外注先で受けられるのか、判断する材料がない[5]
Q. ジュラコン(POM)は、金属材料と同じ工具や条件で削れるのか?
A. 削れます。ただし金属向けの切削条件と工具をそのまま当てると、公差から外れます。[1][5] 理由は二つあります。ひとつは剛性です。アセタール樹脂は金属より曲げ剛性が低く、薄肉部は切削中にたわむため、加工中に支えを当てないと公差内に収まりません。[1] もうひとつは熱です。固体状態の熱伝導率が0.30〜0.37W/mK、融点が178℃であるため、切削点で出た熱が母材側へ逃げず刃先まわりに滞留します。滞留した熱は寸法の狂いや局部的な溶けにつながるので、工具の刃先形状と冷却の当て方は、金属材料とは別に決めます。[1] 線膨張の大きさも効きます。23〜55℃の範囲で(10〜14)×10⁻⁵/Kという値が示されており、温度が10℃違えば100mmの寸法で0.1mm前後動く計算になります。[1] 加工現場と測定室の温度がそろっていなければ、同じ部品でも検査工程で読みが食い違います。 もう一点、成形品の公差表と切削品の公差を混同しないことも確認します。材料メーカーの資料が示す±0.15〜0.3%(150mm以下)、±0.25〜0.4%(150mm超)という値は、良好な成形条件での成形品の値であり、切削品の値ではありません。[1] この数字だけを切削図面へ持ち込むと、要求が緩すぎるか厳しすぎるかのどちらかになります。
Q. 公差は何mmまで指定できるのか?
A. 樹脂切削で一般的に示される公差の目安は±0.01〜0.05mmです。±0.01mm級も条件次第で不可能ではありませんが、表面加工や研磨を足すぶんコストが上がります。[2] 加工方式ごとの目安も分かれています。切削加工で±0.01〜0.03mm、射出成形でおよそ±0.03〜0.05mm、真空注型と光造形は±0.1mm程度にとどまるとされます。[2] 数量が少ないうちは金型を作り込むより、市販の丸棒や板材といった材料形状から削り出すほうが早く安いという判断もあり、アセタール樹脂ではねじや細かい形状を成形せず後から削る方法が資料に挙げられています。[1] 指定するときは、寸法公差、はめ合い公差、幾何公差を分けて書きます。はめ合いはすきまばめ、中間ばめ、しまりばめのどれか、幾何公差は真直度、平面度、真円度、円筒度、平行度、直角度、位置度、同心度のどれを効かせたいかまで書いていただけると、受け側の工程設計と検査方法が一度で決まります。[2] 複数の公差が積み重なる箇所は、累積を設計段階で見ておく必要があります。[2] 切削後の変形も工程の一部として扱います。外から力と熱が加わると内部に残留応力が生じ、加工後に変形することが少なくないため、熱をかけて歪みを除くアニール処理が対策として挙げられています。[2] 図面に公差だけを書いて工程指示を省くと、この処理を入れるかどうかが受け側の裁量になり、ロット間で検査結果が振れます。
Q. 弊社に依頼いただくとき、5軸加工と材料手配のどこまでを引き受けるのか?
A. 引き受ける範囲は、材質グレードと要求公差が決まってから確定します。対応可否と見積を回答します。[3][5] 弊社の材料ページ上、ジュラコン(POM)はエンジニアリングプラスチックの一グレードとして登録されており、耐熱温度110℃、重量は鋼の約1/6、被削性は良好で専用工具が推奨される区分です。在庫材料ではないため、材料手配を含めた条件確認から入ります。[5] 樹脂加工を扱った公開コラムでも、問い合わせの多い樹脂としてPTFE、PEEK、POM(ジュラコン)、MCナイロンの4つを挙げており、試作から量産までの調達に対応しています。[3] 工程の区分は金属案件と変わります。BTA深穴加工、熱処理、EDM、研削は樹脂部品には適用せず、5軸精密加工での切削仕上げを標準にしています。[5] 5軸マシニングの能力値は面粗度Ra0.4〜3.2、位置決め精度±0.003mmで、樹脂部品もこの経路に乗せます。[6] ただし、公開できる樹脂の詳細加工事例はPEEK-CA30製の半導体向けバルブボディ1件で、材質はPOMではありません。[4] その事例では、材料調達と前加工を深江特殊鋼が持ち、樹脂部品の5軸精密加工と仕上げを協力工場が担当しました。[4] ジュラコン(POM)でも同じ分担が組めるかは、形状、数量、検査要求が決まってから判断します。
図面で見ておきたい条件
- BTA深穴加工、熱処理、EDM、研削は樹脂部品には適用しません。5軸精密加工による切削仕上げが標準の経路です。[5]
- ジュラコン(POM)を含むエンジニアリングプラスチックは在庫材料として保有しておらず、材料手配を含めた条件確認が必要になります。[5]
相談前に知っておきたいこと
- 公開している樹脂の詳細加工事例はPEEK-CA30製バルブボディの1件です。材質はPOMではないため、この事例の真円度や面粗度はPEEK-CA30の実測値として参照し、ジュラコン(POM)としての精度は材質グレードと図面条件が決まってから回答します。[4]
- 弊社側で確認できるPOM固有の数値は耐熱温度110℃までで、線膨張係数や成形収縮率は材料メーカーの資料を参照しています。[5][1]
関連するものづくりトピックス
業界での実機事例(参考)

PEEK半導体ウェハ処理用バルブボディのマシニング加工
よくある質問
図面がまだ固まっていなくても相談できますか?+
ジュラコン、POM、ポリアセタールと呼び方が違っても通じますか?+
金属部品と樹脂部品が混ざった案件でも、一括で相談できますか?+
ジュラコン(POM)でどこまでの公差が出ますか?+
切削後に反りが出ると聞きました。対策は依頼時に指定すべきですか?+
材料の手配も含めて依頼できますか?+
試作1個からでも相談できますか?+
深穴加工や熱処理も樹脂部品に使えますか?+
短納期の案件でも回答をもらえますか?+
他の樹脂と比べて、ジュラコン(POM)が向くのはどんな部品ですか?+
あわせて読みたい情報
参考事例・文献
内部事例
- [4] Meta-Navi: PEEK半導体ウェハ処理用バルブボディのマシニング加工
設備・会社情報
- [3] Meta-Navi: エンプラ・スーパーエンプラなど樹脂加工品もお任せ
- [5] Meta-Navi: エンジニアリングプラスチック材料ページ
- [6] Meta-Navi: 5軸精密加工
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