Meta-NaviProduced by 深江特殊鋼株式会社

PEEK・PTFEなど樹脂加工(エンプラ)の外注は、何を確認すれば対応可否を判断できるか?

樹脂加工の外注は金属加工の延長では判断できません。BTA深穴加工、熱処理、EDM、研削のいずれも樹脂には使えず、PEEKは5軸精密加工での実績があるのみです。まず加工実績、工程分担、公差基準を確認します。[1][2]

確認項目を見る

Meta-Navi bridge

Meta-Naviのエンジニアリングプラスチック加工記事から相談へ進む

図面や具体的なアイデアがなくてもOK! PEEK・PTFEなど樹脂加工の対応可否で迷うなら、Meta-Navi のエンジニアリングプラスチック加工記事を入口にして、条件整理はこのページで進めてください。

とりあえず相談してみる元 topic: /topics/2396

まず確認すること

最初に確認すべきなのは、樹脂加工が「できるかできないか」ではありません。公開事例では、半導体ウェハ洗浄装置用の薬液バルブボディ(PEEK-CA30、外形φ90×L120mm)を対象に、切削油を使わずエアブローとミストクーラントで5軸精密加工し、流路φ18の真円度0.008mm、外形シール面Ra0.6を達成しています。[1] 一方で、BTA、熱処理、EDM、研削といった他工程は樹脂には使えず、5軸精密加工での切削仕上げに一本化されます。[2] つまり対応可否は、工程ごとに切り分けて確認する必要があります。

材質グレード: PEEK、PEEK-CA30(炭素繊維30%強化)、PTFE、POM、ポリカーボネートなど、どのグレードかをミルシートや材料証明で確認[2]
公差グレード: 樹脂切削加工専用の一般公差JISが無いため、JIS B 0405/B 0419の等級(精級f、中級m、粗級c、極粗級v)のどれを指定するかを確認[5]
寸法安定化: 加工後の吸湿や温度変化で寸法が0.1〜0.2%程度変化しうるため、条件付けした環境で静置後に測定するかを確認[4]
工具・冷却: PCDまたは超硬工具を使うか、切削油かエアブロー・ミストクーラントかを確認(切削油残留がNGな用途では特に重要)[1][3]
深穴・薄肉形状: 穴深さが直径の2倍を超える場合や薄肉形状では割れ・変形リスクが高まるため、肉厚、穴径、支持方法を確認[3][4]
検査条件: 真円度や面粗度に加え、パーティクル管理などクリーンルーム対応が必要かどうかを確認[1]

納期が遅れやすいポイント

  • PEEK・PTFEの加工を外注できるか、金属加工先に聞いても明確な返答が来ない
  • BTA深穴加工や熱処理を樹脂にも使えるのか判断できない
  • 樹脂部品の公差グレードをどう指定すればよいか分からない
  • 金属部品と樹脂部品が混在する図面で、外注先を分けるべきか判断できない
  • 在庫材料からすぐ供給してもらえるのか確認できていない[2]

Q. PEEK・PTFEなど樹脂加工の外注で、実際にどこまで対応できるのか?

A. 現時点で確認できる実績は、半導体向けPEEK-CA30バルブボディの5軸精密加工1件です。BTA深穴加工、熱処理、EDM、研削は樹脂には適用できません。[2] 公開事例では、ウェハ洗浄装置用の薬液バルブボディ(PEEK-CA30、炭素繊維30%強化、外形φ90×L120mm)を対象に、切削油を使わずエアブローとミストクーラントで炭素繊維粉塵を飛散させながら5軸マシニングで一括加工しています。流路φ18の真円度0.008mm、外形シール面Ra0.6を達成し、超純水超音波洗浄とN2ブロー乾燥でクラス100のクリーンルーム対応まで行っています。[1] 一方で、樹脂の加工可否は工程ごとに分かれます。BTAで樹脂は加工できず、熱処理も樹脂には適用できません。PEEKは非導電性のためEDMも使えず、研削は不適で切削仕上げが標準です。[2] つまり「樹脂加工を外注できるか」という質問には、工程を分けて答える必要があります。材料調達と大型部材の前加工、BTA深穴加工は深江特殊鋼が担当し、樹脂部品の5軸精密加工・仕上げは協力工場が担当する形で対応した実例があります。[1][2]

Q. 金属加工と同じ感覚で発注すると、なぜ寸法不良や割れが起きやすいのか?

A. 熱伝導率の低さと熱膨張の大きさ、弾性変形のため、金属向けの工具・冷却条件をそのまま使うと、寸法不良や割れが起きやすいからです。[3][4] PEEK・PTFEなどエンプラは熱伝導率が金属の1/200〜1/500と低く、切削点に熱が集中して軟化・変形しやすい材料です。[3] 熱膨張も金属の最大10倍あり、達成可能な公差は寸法の0.1〜0.2%程度、目安として1インチあたり約0.001インチとされています。[4] 深穴(直径の2倍を超える深さ)を加工する際は、低い伸び特性のため十分な冷却なしで加工すると割れが生じやすく、低ヘリックスドリルとフラッド冷却、ペック加工が推奨されています。[3] 薄肉の筒状部品は旋削中に変形しやすいため、チャック圧を全周に分散させる治具や内部プラグでの支持が必要です。[3] また、機械加工後は弾性回復や内部応力の緩和で寸法が動くため、条件付けした環境で一定時間静置してから測定する運用が推奨されています。[4]

Q. 発注前に何を確認すべきか?

A. 材質グレード、公差グレード、工具・冷却条件、検査条件の4つです。[1][5] 樹脂切削加工には専用の一般公差JISが存在しないため、実務では金属加工用のJIS B 0405/B 0419の等級表を公差基準として準用するケースがあります。等級は精級、中級、粗級、極粗級の4段階で、公称寸法が大きくなるほど許容差が広がります。[5] 図面・RFQには、どの等級を指定するかを明記した方が、外注先の見積もりと検査基準がそろいます。[5] 工具・冷却では、PCDまたは超硬工具を使っているか、切削油かエアブロー・ミストクーラントかを確認します。とくに薬液、医療、半導体用途で切削油の残留が許されない場合は、冷却方式が結果を左右します。[1][3] 検査条件では、真円度・面粗度に加えて、クリーンルーム対応やパーティクル管理が必要かどうかも合わせて確認します。[1]

図面で見ておきたい条件

  • BTA深穴加工、熱処理、EDM、研削は樹脂(PEEK・PTFE等)には適用できません。5軸精密加工での切削仕上げが標準です。[2]
  • PEEK・PTFEなどエンプラの在庫は保有しておらず、材料調達を含めた条件確認が必要になります。[2]

相談前に知っておきたいこと

  • 確認できる実績は半導体向けPEEK-CA30バルブボディの5軸精密加工1件で、PTFE、POM、ポリカーボネートなど他グレード・他用途への一般化はできません。[1]
  • 在庫材料からの即時供給はできません。材料調達を含めた工程で条件を確認します。[2]

関連するものづくりトピックス

業界での実機事例(参考)

PEEK半導体ウェハ処理用バルブボディのマシニング加工の加工写真

PEEK半導体ウェハ処理用バルブボディのマシニング加工

machining5axispeek

よくある質問

図面がまだ固まっていなくても相談できますか?+
はい。樹脂加工は金属と違い、材質グレード(PEEKかPEEK-CA30炭素繊維30%強化かPTFEかなど)の違いだけで対応可否や公差の見通しが変わります。そのため寸法や公差、数量、希望納期が未確定でも、材質グレードが分かる図面、手書きメモ、既存品の写真があれば確認を始められます。
PEEK以外にPTFEやポリカーボネートも相談できますか?+
相談できます。ただし公開できる実績はPEEK-CA30の半導体向けバルブボディ加工1件のため、他グレードは材質グレード、形状、公差を確認したうえで個別に判断します。
樹脂部品と金属部品が混在する図面でも、まとめて相談できますか?+
相談できます。金属チャンバー本体と樹脂バルブボディ、絶縁部品などが混在する場合でも、材料ごとに加工先と洗浄条件を分けて確認します。
在庫からすぐに材料供給してもらえますか?+
PEEK・PTFEなどエンプラは在庫材料ではないため、即時供給はできません。材料調達を含めた工程として、納期条件から確認します。
公差はどのグレードを指定すればよいですか?+
樹脂専用の一般公差JISがないため、JIS B 0405の等級(精級f、中級m、粗級c、極粗級v)から近いものを指定するのが実務上の目安です。用途上どうしても必要な部位だけ個別公差を入れる方法もあります。
短納期の相談も可能ですか?+
可能です。ただし材料調達を含むか、支給材があるか、検査条件がどこまで必要かで回答速度が変わります。PEEK・PTFEは在庫材料ではないため、支給材がない場合は調達期間を先に確認したほうが、短納期の可否を早く判断できます。[2]
海外図面(インチ表記など)でも相談できますか?+
相談できます。インチ表記の図面でも、材質グレード、寸法、公差の対応関係が分かれば確認できます。単位変換の誤差が出やすい箇所は個別に確認します。
初回の見積もり回答を早くするにはどんな情報が必要ですか?+
材質グレード、外形寸法、公差、数量、希望納期、切削油の使用可否、検査条件があると早いです。とくに切削油の使用可否は、薬液、医療、半導体用途では冷却方式の選定に直結するため、早い段階で分かると確認が早まります。[1][3]
BTA深穴加工や熱処理を樹脂部品に適用できますか?+
できません。BTAで樹脂は加工できず、熱処理も樹脂には適用できません。PEEKは非導電性のためEDMも使えず、研削は不適で、5軸精密加工による切削仕上げが標準です。
試作1個からでも相談できますか?+
相談できます。量産前の試作段階から、材質グレード、公差、検査条件をすり合わせておくと、量産移行時の条件不一致を減らせます。

あわせて読みたい情報

参考事例・文献

外部資料

  1. [3] Drake Plastics: PEEK Machining Guide
  2. [4] Boedeker Plastics: Guide to Machining Plastics
  3. [5] 極東化成: 樹脂加工公差表(JIS B 0405/B 0419準拠)

内部事例

  1. [1] Meta-Navi: PEEK半導体ウェハ処理用バルブボディのマシニング加工

設備・会社情報

  1. [2] Meta-Navi: PEEK材料ページ

このページの情報は役に立ちましたか?

Meta-Navi bridge

ここまでご覧いただいた方へ

条件が固まっていなくても大丈夫です。図面や仕様が手元になくても、まずはMeta-Naviにご相談ください。