スポット溶接とは何か?板厚と材料のどこまでが対象で、発注前に何を決めるべきか
スポット溶接は、重ねた板を電極で挟んで加圧し、通電したときの発熱で接合部(ナゲット)を作る工法です。JIS Z 3140の対象は板厚0.4mmから5.0mmの鋼系材料とアルミニウム系材料で、発注前には板厚と材料、ナゲット径の等級、検査区分を先に決めます。[1]
Meta-Navi bridge
板厚と材料が決まっていれば相談を始められます
図面や具体的なアイデアがなくても始められます。板厚、材料、重ねる枚数、想定数量のうち分かっているものだけで、条件のどこが未確定かを整理してお返しします。溶接後の機械加工まで含める場合は、公差と基準面もあわせて確認します。
まず確認すること
最初に決まるのは工法の良し悪しではなく、対象が規格の範囲に入るかどうかです。JIS Z 3140が対象とするのは板厚0.4mm以上5.0mm以下で、材料は軟鋼から高強度鋼、ステンレス鋼(SUS系)、アルミニウム合金までを含みます。[1] この範囲に入るなら、次に決めるのはナゲット径の等級と検査区分で、ここまで決まれば見積の条件がそろいます。[1]
納期が遅れやすいポイント
- どの板厚まで対象になるのか、規格上の範囲を確認できていない[1]
- 鋼とアルミニウムで検査の考え方が変わることを知らないまま図面を出している[1]
- ナゲット径の等級をどこに置けばよいか決められない[1]
- 溶接した組立品の寸法を、後工程の機械加工でどこまで合わせられるか読めない[2][3]
- 相談先が自社設備で何を持ち、どこから手配になるのかが外から見えない[4]
Q. スポット溶接は、どうやって板をつないでいるのか?
A. 重ねた板を電極で挟んで加圧し、通電したときの抵抗発熱で材料どうしの界面を溶かし、凝固した部分で留めています。この溶けて固まった部分をナゲットと呼び、検査ではその径を測ります。[1] JIS Z 3140は、溶接部にナゲットが形成された場合にだけ適用されると定めています。[1] 電極の圧痕は残っているのに界面が溶けていない状態は、外から見ると接合したように見えても、この規格の判定の対象になりません。材料が実際に溶けて凝固したかどうかは、断面検査で溶込み率を測って確かめます。基準は、対象となる板厚の10%以上で、かつ表面まで溶けていないことです。[1] 良否を決めるのは打点の見た目ではなく、板の内側にできた溶融部の大きさです。ナゲット径は板厚t(mm)の平方根に係数を掛けた式で等級化され、A級は平均5√t以上、B級は4√t、C級は3.5√tと決められています。[1] 板厚1.0mmの鋼板なら、A級で平均3.5mm以上かつ最小2.7mm、C級で平均2.5mm以上かつ最小2.1mmという水準です。材料が鋼かアルミニウムかで参照する表は分かれます。[1]
Q. 板厚と材料で、向き不向きはどこまで決まるのか?
A. JIS Z 3140が対象とするのは板厚0.4mm以上5.0mm以下で、材料は軟鋼、低合金鋼、高強度鋼、ステンレス鋼(SUS系)、アルミニウム及びアルミニウム合金です。表面処理をした材料も対象に含まれます。[1] 要求されるナゲット径は板厚の平方根で効くため、板が厚くなるほど必要な溶融部も大きくなります。板厚1.0mmのA級なら、平均3.5mm以上かつ最小2.7mmが検査での水準です。[1] 材料による差がはっきり出るのは検査側です。ナゲット径の合否は鋼とアルミニウムで別々の表を参照し、十字引張試験は鋼材にだけ適用されます。[1] アルミニウム合金では十字引張で強度を示す道が使えないため、外観、断面、引張せん断のどれをどこまで求めるかを、材料が決まった時点で取り決めておくことになります。[1] 外観の判定にも、発注側で決めておく部分が残ります。溶接部表面の周辺に割れがあってはならないという基準は規格が定めていますが、ピットを許すかどうかは受渡当事者間の協議によるとされています。[1] 材料と板厚が同じでも、この取り決めが違えば検査の合否は変わります。
Q. 弊社に相談いただくとき、事前に確認させていただく条件は何か?
A. 板厚、材料、要求するナゲット径の等級、検査の区分、そして溶接後に機械加工が要るかどうかの5点です。[1] 深江特殊鋼が自社に持っている設備50台は、BTA深穴機、マシニングセンタ、旋盤、研削盤といった切削の機械で、スポット溶接機は含まれていません。[4] スポット溶接を含む案件も受け付けており、板厚、材料、要求等級、検査区分、数量が決まった段階で、対応可否と費用を回答します。[4] 自社で数値まで示せるのは、溶接した組立品を機械加工で仕上げる側です。公開事例では、SS400の溶接構造でできた550×420×320mmの減速機ケースを受け入れ、応力除去焼鈍600℃×4hを挟んでから軸受穴を加工し、同軸度0.03mm、位置度φ0.08で全数を通しています。[2] 溶接で入った変形をどの工程で抑え、どこから機械加工で合わせるかは、製缶品の溶接歪みを扱ったページに整理しています。[3] この事例は板厚も材料の状態もスポット溶接とは異なる製缶品ですが、溶接で入った変形と、その後に残る公差の責任をどちらが持つかを先に決めておくと、後工程の手戻りが減るという点は共通します。[2][3]
図面で見ておきたい条件
- JIS Z 3140が対象とするのは板厚0.4mm以上5.0mm以下の材料です。この範囲を外れる薄板や厚板の可否は、この規格だけでは検査基準を決められません。[1]
- この規格は、溶接部にナゲットが形成された場合にだけ適用されます。加圧の痕は残っていても材料が溶けていない状態は、この検査基準の対象外です。[1]
- 十字引張試験は鋼材に適用される試験です。アルミニウム合金の接合強度は、この試験以外の検査方法で確認する必要があります。[1]
相談前に知っておきたいこと
- スポット溶接機は、深江特殊鋼の設備一覧50台には含まれていません。板厚、材料、要求等級、検査区分が決まった段階で、対応可否と費用を回答します。[4]
- 電流、通電時間、加圧力、電極先端径、打点間隔の推奨値は、参照したJIS Z 3140の定める範囲の外にあります。条件出しは、材料と板厚が決まってからの作業になります。[1]
関連するものづくりトピックス
業界での実機事例(参考)

SS400減速機ケースのマシニング加工
よくある質問
図面がまだなくても相談できますか?+
板厚が5.0mmを超える部品はどう判断すればよいですか?+
アルミニウム合金でも鋼と同じ検査基準で見られますか?+
ナゲット径の等級はどこまで指定すべきですか?+
表面のくぼみが気になる場合、何を指定すればよいですか?+
溶接した後の機械加工まで一緒に依頼できますか?+
電流や加圧力の条件も相談時に教えてもらえますか?+
支給材でも受けられますか?+
他社で溶接した部品の後工程だけでも相談できますか?+
初回の回答では何が分かりますか?+
あわせて読みたい情報
参考事例・文献
内部事例
- [2] 加工事例: SS400減速機ケースのマシニング加工
このページの情報は役に立ちましたか?