FSW(摩擦攪拌接合)とは何か?通常の溶接との違いと、発注先に確認すべきことは?
FSWは母材を溶かさない固相接合で、回転工具の摩擦熱で軟化させた材料を練り混ぜて継手を作ります。[1] まず確認するのは、母材の合金系と板厚、突合せか重ねかの継手形状、そして発注先の手順と検査がISO 25239のどの部に沿っているかの3点です。[1][2]
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FSWで進めるか迷っている段階なら、母材の合金系、板厚、接合したい長さ、接合後にどこまで加工が要るかをメモにして、Meta-Naviのお問い合わせから送ってください。図面や具体的なアイデアがなくてもOK!条件の整理から一緒に進められます。
まず確認すること
FSWは、回転する非消耗の工具を継手線に押し込み、摩擦熱で母材を軟化させたまま練り混ぜて接合します。母材は溶けません。[1] この一点から、凝固に由来する割れやポロシティが出にくいこと、溶加材とシールドガスが要らないこと、入熱が低いぶん収縮とひずみが小さいことが同時に決まります。[1] 同じ一点から制約も出ます。工具を引き抜いた終端には抜け穴が残り、大きな押し付け力を受け止める治具が要り、隙間を埋める溶加材が無いぶん突き合わせの精度が要求されます。[1]
納期が遅れやすいポイント
- 継手が突合せか重ねかを決めないまま、接合方法だけを先に選ぼうとしている[1]
- 母材の合金系と板厚が未確定のまま、見積だけを取りに行っている[1]
- 接合後の機械加工(穴あけ、平面出し、公差仕上げ)を誰が持つか決まっていない[3]
- 工具を引き抜いた終端に残る抜け穴の処理を、製品形状に織り込んでいない[1]
- 押し付け力を受け止める治具の条件が決まらず、試作の段取りが止まっている[1]
Q. FSW(摩擦攪拌接合)とは、どういう仕組みの接合ですか?
A. 母材を溶かさずに、回転する工具の摩擦熱で軟化させ、材料を練り混ぜて一体化させる固相接合です。[1] 工具は溶けて減る消耗品ではなく、非消耗の回転工具です。継手線に押し込みながら移動させると、摩擦熱で母材が軟らかくなり、その状態のまま材料が機械的に攪拌されて接合部が形づくられます。融点に達しないため、溶けた金属が固まるときに起きる割れやポロシティが出にくくなります。[1] 溶加材、フラックス、シールドガスは使いません。[1] 溶けた材料を大気から守る必要がないからです。入熱が低いぶん収縮とひずみが小さく、ヒューム、スパッタ、紫外線も出ません。[1] 自動化しやすく継手の再現性が高い点は、量産で使われてきた理由として挙げられています。[1] 接合部の断面は3つの領域に分かれます。工具が直接練り混ぜた攪拌部(ナゲット)では動的再結晶が起き、その外側に再結晶までは至らない熱加工影響部(TMAZ)、さらに外側に熱影響部(HAZ)が並びます。[1] 接合部の検査や強度の評価は、この領域の区別を前提にします。 アルミニウム合金では、単パスで接合できる板厚として約0.3mmから75mmが示されています。[1] 適用材料はアルミニウムだけでなく、マグネシウム、チタン、銅、ニッケル、鋼、樹脂、金属基複合材にも及び、アルミと鋼のような異材接合の例も挙げられています。[1] 1991年に英国のTWIで発明され、1990年代半ばから量産に使われています。[1]
Q. 通常の溶接と比べると、何が有利になり、何が制約になりますか?
A. 溶けないという同じ性質が、利点と制約の両方を作ります。凝固欠陥とひずみが減る代わりに、工具を引き抜いた終端の抜け穴、治具の剛性、隙間を埋める材料が無いことへの対応が、新しく必要になります。[1] 従来の溶融溶接では溶接が難しいとされる2000系と7000系のアルミニウム合金が、FSWでは接合できるとされています。[1] これらは溶けた材料が固まる過程で割れやすい合金系なので、溶かさない工程に置き換えると、その割れの原因そのものが工程から消えます。[1] ひずみが小さいことも同じ理由から来ており、入熱が低ければ、冷えるときの収縮量も小さくなります。[1] 制約は3つあります。1つめは終端の抜け穴で、工具を引き抜いた跡が必ず残ります。製品形状で逃がすか、捨て板を付けて外へ出すかを設計側で決めます。[1] 2つめは力です。押し付け力と送り力が大きいため、加工中にワークが動かない治具と拘束が要ります。[1] 3つめは隙間です。溶加材が無いので、開先の隙間を埋める材料がありません。突き合わせのフィットアップを厳しく管理する必要があります。[1] 後の2つの条件は、接合前の素材加工と接合後の機械加工に跳ね返ります。突き合わせ面の平面度と直角度は機械加工で決まり、接合後の穴あけと仕上げも機械加工です。弊社が受けるのはこの機械加工の範囲で、溶接構造部品(材質SS400、素材150×170×380mm)にφ85の貫通穴をBTA加工機で加工した公開事例があります。[3] 適用先として挙げられているのは、航空、造船、鉄道車両、電機(EV用電池トレーを含む)です。[1] 弊社ページでも、熱板の冷却水路をふさぐ接合方法の1つとしてFSWを取り上げ、TIG溶接、ろう付け、電子ビーム溶接と並べて比較しています。[6]
Q. FSWの発注先を探すとき、弊社が先に確認させていただくのは何ですか?
A. 材質と板厚と継手形状、終端と治具の条件、そして接合後にどこまで機械加工と検査を含めるかです。[1][2] アルミニウムのFSWにはISO 25239という専用の規格群があり、用語(第1部)、継手の設計(第2部)、作業者の資格(第3部)、施工要領の仕様と資格(第4部)、品質と検査の要求(第5部)の5部で構成されています。[2] 第5部は、指定した品質の製品を作るためにFSWを使える能力が製造者にあるかを判定する方法を定めた部です。[2] 接合の可否そのものより先に、その工場が作業者、施工要領、検査をどの部に沿って組んでいるかを聞けます。[2] ただし第5部は、特定の製品グループに対する要求値は割り当てないと明記しています。[2] 合否のしきい値は規格の側では決まらず、発注側か製品規格が決めるということです。[2] したがって、板厚ごとの許容欠陥や検査方法は図面と要求仕様の側で先に固める必要があります。[2] なお、点接合であるFSSWはISO 25239の対象外で、ISO 18785系という別の規格群になります。[2] FSWの接合そのものは、弊社の自社設備一覧にある工程ではありません。公開している協力企業ネットワークの溶接工程はTIG、MIG、レーザーの3種で、これに熱処理、表面処理、三次元測定と非破壊検査が並んでいます。[5] 対応できる材質、精度、ロット、納期の範囲は、国内300社超の協力企業ネットワークによって広がっています。[5] FSWの案件は、材質、板厚、継手形状、数量が決まった段階で、材料の手配を含めるかどうかと合わせて、対応可否と範囲をまとめて回答します。 弊社が数値で示せるのは、接合の前後の機械加工です。溶接構造部品(SS400、素材150×170×380mm)へのφ85貫通穴のBTA加工[3]と、アルミ合金A5052の金型冷却ブロック(65×100×420mm)へのφ30ガンドリル貫通加工[4]が公開事例にあります。アルミ部材の機械加工と、接合済み部品の後加工については、この2件が実物の根拠です。[3][4]
図面で見ておきたい条件
- 突き合わせの隙間は、溶加材で埋められません。板厚に対する隙間の許容値と、端面の仕上げ方法を図面側で指定します。[1]
- 工具を引き抜いた終端の抜け穴をどこに置くかは、部品の外形と機能面の位置で決まります。捨て板で外へ逃がす場合は、素材寸法をその分だけ大きく取ります。[1]
- アルミニウムの単パス接合として示されている板厚は約0.3mmから75mmです。[1] この範囲の内か外かで、確認する項目が変わります。
相談前に知っておきたいこと
- FSWの接合そのものは、弊社の自社設備一覧にある工程ではありません。公開している協力企業ネットワークの溶接工程はTIG、MIG、レーザーの3種です。[5] 材質、板厚、継手形状、数量が決まってから、対応可否と範囲をまとめて回答します。
- 接合部の強度や継手効率の数値は、このページの根拠では確認していません。合金系、板厚、接合条件で変わるため、必要な場合は試験片の引張試験と断面観察の結果で判断します。[2]
- ISO 25239はアルミニウムとアルミニウム合金を対象とした規格群です。[2] 鋼、チタン、異材の組合せをFSWで接合する場合、この規格群は根拠になりません。検査の合否基準を別に決める必要があります。[2]
よくある質問
図面がまだ無い段階でも相談できますか?+
FSWで進めるか、TIG溶接で進めるかを比較する材料が欲しいのですが。+
アルミ以外の材料でも相談できますか?+
接合だけを依頼したい場合はどうなりますか?+
接合後の機械加工だけを依頼できますか?+
初回の回答を早くするには、何を伝えればよいですか?+
FSW接合部の強度は母材の何割になりますか?+
点接合(FSSW)も同じ規格で見ればよいですか?+
海外の拠点で接合した部品の後加工も相談できますか?+
材料の手配から相談できますか?+
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参考事例・文献
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