A1100(純アルミニウム)の機械加工を発注する前に、何を確認すべきか?
まず確認するのは、質別記号(O、H14など)、製品形態と板厚公差の基準、要求強度がA1100で足りるかの3点です。A1100は熱処理で強度が上がらないため、強度は質別だけで決まります。この3点が決まれば、対応可否と費用を回答できます。[1][2]
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A1100で質別や板厚公差をどこまで指定すべきか迷うなら、現時点の図面と用途、必要数量をメモにしてMeta-Naviのお問い合わせから送ってください。図面や仕様がまだ固まっていなくても、質別の決め方から一緒に整理できます。
まず確認すること
A1100で先に決まらないのは、材質ではなく硬さです。JIS H4000の機械的性質表では、板厚0.2〜0.5mmのO材で引張強さ75〜105N/mm2、板厚0.2〜0.3mmのH14材で120〜145N/mm2と、質別ごとに範囲が分かれて重なりません。[1] しかもA1100は熱処理で強度を足せないため、材料が届いてから硬さを変えることもできません。[2] 質別を決めずに図面を回すと、加工先は見積の前提を置けないまま数字を出すことになります。[4]
納期が遅れやすいポイント
- 図面に材質記号のA1100だけを書くと質別が決まらず、届く材料の硬さが一意に決まらない[1]
- A1100は熱処理で強度を上げられないため、強度を熱処理で足す前提の設計がそのままでは通らない[2]
- 強度が足りるか判断できず、A5052やA6061へ振り替えるべきか決めきれない[7]
- 板厚公差の適用表が冷間圧延の板と熱間圧延の厚板で分かれるため、製品形態を書かないと許容差が確定しない[1]
- 公開されているアルミの加工事例はA5052やA6061が中心で、A1100の面粗度やバリの出方を推定する材料にならない[3]
Q. A1100は、ほかのアルミ合金と何が違うのか?
A. 熱処理で強度が上がらず、強度が質別だけで決まる点が違います。[2] A1100はアルミニウムの純度が99.00%以上で、JIS H4000の成分表ではSiとFeの合計が0.95%以下、Cuが0.05〜0.20%、Mgが0.05%以下、Znが0.10%以下と決められています。[1] 強度を担う添加元素をほとんど持たないため、溶体化処理と時効処理で析出物を作る余地がなく、A1100は焼入れに相当する強化ができません。[2] そのぶん、強度は冷間加工でどこまで硬くしたかで決まります。質別記号のOやH14が指しているのはこの硬さの段階であり、質別が変われば同じ材質記号でも引張強さの範囲が重ならなくなります。[1] 材質記号だけの図面では、この幅のどこに落ちるかが決まりません。 強度が足りない場合に振り替える先は、添加元素で強化する系統になります。2000系は銅を添加して熱処理で強度を上げる合金で、そのかわり耐食性は純アルミニウムより落ちます。[8] 5000系はマグネシウムで強度を上げつつ、銅ほど耐食性を損なわないため、純アルミニウムに次ぐ耐食性を保ちます。[7] 強度が要求の中心にあるなら、A1100は最初に外れる候補になります。 もう一つ、同じA1100の名前で規格上のグレードが二つあります。標準のA1100Pに対して、旧記号1N00に対応するA1100APはSiとFeの合計が1.00%以下と、不純物の許容が緩く決められています。[1] 見積を取るときにどちらのグレードで引き合っているかを確認しておくと、材料の受け入れ基準が後でずれません。
Q. 図面と注文書には、どこまで書いておけばよいのか?
A. 合金記号に加えて、質別記号、製品形態、板厚公差の基準の3つです。[1][4] 質別記号は、JIS A1100P-H14のように合金記号に続けて書きます。弊社がアルミ素材の調達を受けるときも、質別は引張強さと伸びの要求に合わせて指定を受ける形をとっており、注文書の記載例もこの書き方です。[4] 板厚は百分台まで指定でき、プラス公差とマイナス公差の指定も受けられます。[4] 板厚公差そのものの基準は、圧延方法で表が分かれます。JIS H4000では、冷間圧延の板と条が表8、熱間圧延の厚板(おおむね4mm以上)が表10です。[1] 同じ板厚を書いても、どちらの製品を買うかで適用される許容差が変わるため、公差の数値だけでなく製品形態まで書いておく必要があります。 受け入れ検査の基準も先に決めておくと、材料が届いてからの差し戻しが減ります。JIS H4000の検査項目は、外観と寸法、化学成分分析、引張試験、曲げ試験です。検査ロットは10,000kgとその端数で一組、または熱処理ロットごとと決められています。[1] 後工程に板金曲げがあるなら、質別の選び方が曲げ半径に直結します。O材には板を自分自身に折り重ねる密着曲げに耐えることが求められる一方、H12以上の質別では内側半径が板厚のおよそ0.5倍から1倍と、質別と板厚の帯で変わります。[1] 曲げ形状が先に決まっているなら、質別もそこから逆算して固定したほうが手戻りがありません。[5]
Q. 弊社に相談いただくとき、何が決まれば回答できるのか?
A. 材質と質別、形状と寸法、公差と面粗度、数量の4つです。ここまで決まれば、対応可否と見積を回答します。[4][5] 材料側は先に押さえてあります。弊社の非鉄金属の在庫リストにはA1050、A1070、A1100、A2017、A2024、A5052、A6061、A7075が入っており、板材、丸棒、角棒、パイプの形で手配できます。[5] 素材調達としては純アルミニウムの1000系から6000系まで扱っており、100kg以下の小ロットのアルミコイルを協力企業と連携して手配した例もあります。[4] 近いグレードの参考としては、A5052の事例があります。プラスチック金型の冷却ブロックとして65mm×100mm×420mmの材料にφ30のガンドリル貫通穴を加工した事例です。[3] この事例では、A5052は被削性が良く加工中の工具トラブルは起きにくい反面、穴が曲がりやすいため工具寿命と刃先研磨の形状管理が効くと整理しています。[3] A1100はそのA5052よりさらに軟らかく、添加元素が少ないぶん延性が高い材料です。[1] 被削性は硬い質別のほうが良いとされているため、O材のような軟らかい質別を選ぶと、切りくずが分断されにくい方向へ働きます。切りくずが刃先に絡めば、面粗度とバリの安定度が落ちます。重い切り込みをかける場合には油性の潤滑が必要とされている点も、条件出しで見る材料の一つです。[2] 工具寿命や到達できる面粗度の数値は、質別と形状、数量が決まってから提示します。A5052の数値はそのまま当てはめず、質別が決まった時点でA1100の条件として改めて確認します。[3]
図面で見ておきたい条件
- A1100は熱処理で強度を上げられないため、強度が足りない場合の選択肢は質別を上げるか合金系を変えるかの二つに絞られます。質別を上げると延性が下がり、曲げに必要な内側半径の下限が大きくなります。[1][2]
- JIS H4000はISO 209:2007およびISO 6361シリーズに対応しますが、対応の程度はMOD(修正)です。ISO規格だけで指定された図面を受け取った場合、数値がJISと同一である前提は置けません。[1]
- 弊社の材質ページに載せているアルミの引張強さ230〜570MPaは、A2017、A5052、A5056、A6061、A7075の5グレードを対象にした範囲です。A1100はこの範囲の下に外れるため、そのまま当てはめられません。[6]
相談前に知っておきたいこと
- 弊社が公開している加工事例で最も近いのはA5052の冷却ブロックで、5000系合金の結果です。A1100の面粗度やバリの出方は、質別と形状が決まってから確認します。[3]
- JIS H4000の引張強さと板厚公差は、板厚帯ごとに行が分かれています。実際に発注する板厚帯の許容差と機械的性質は、注文前に該当する行を確認する必要があります。[1]
業界での実機事例(参考)

A5052不織布設備ローラーのBTA深穴加工

A5052光学機器用ブロックの5軸精密加工
よくある質問
図面がまだ固まっていなくても相談できますか?+
図面に「A1100」とだけ書いてあれば見積は出ますか?+
A1100PとA1100APは、どちらを指定すればよいですか?+
支給材でも加工だけ依頼できますか?+
強度がA1100で足りるかどうかも見てもらえますか?+
板厚公差はどこまで細かく指定できますか?+
ミルシートは付けてもらえますか?+
A1100の加工事例を見せてもらえますか?+
小ロットの材料でも手配してもらえますか?+
切断や曲げ、表面処理まで含めて依頼できますか?+
納期はどれくらいで回答できますか?+
あわせて読みたい情報
参考事例・文献
外部資料
設備・会社情報
- [4] 金属加工ジャパン: 小ロット多品種のアルミ素材調達
- [5] 金属加工ジャパン: 非鉄金属の材料と加工品の調達
- [6] 金属加工ジャパン: 非鉄金属(アルミニウム)の材質データ
- [7] 金属加工ジャパン用語辞典: A5052
- [8] 金属加工ジャパン用語辞典: A2017
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