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A1100(純アルミニウム)の機械加工を発注する前に、何を確認すべきか?

まず確認するのは、質別記号(O、H14など)、製品形態と板厚公差の基準、要求強度がA1100で足りるかの3点です。A1100は熱処理で強度が上がらないため、強度は質別だけで決まります。この3点が決まれば、対応可否と費用を回答できます。[1][2]

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A1100で質別や板厚公差をどこまで指定すべきか迷うなら、現時点の図面と用途、必要数量をメモにしてMeta-Naviのお問い合わせから送ってください。図面や仕様がまだ固まっていなくても、質別の決め方から一緒に整理できます。

とりあえず相談してみる元 topic: /topics/1883

まず確認すること

A1100で先に決まらないのは、材質ではなく硬さです。JIS H4000の機械的性質表では、板厚0.2〜0.5mmのO材で引張強さ75〜105N/mm2、板厚0.2〜0.3mmのH14材で120〜145N/mm2と、質別ごとに範囲が分かれて重なりません。[1] しかもA1100は熱処理で強度を足せないため、材料が届いてから硬さを変えることもできません。[2] 質別を決めずに図面を回すと、加工先は見積の前提を置けないまま数字を出すことになります。[4]

材質と質別: A1100PかA1100APか、質別はO、H12、H14、H24、H112のどれか(記載例 JIS A1100P-H14)[1][4]
製品形態: 冷間圧延の板か条か、熱間圧延の厚板(おおむね4mm以上)か。板厚公差の適用表がここで分かれます[1]
寸法と数量: 素材寸法、加工後の外形、必要数量。小ロットかどうかで材料の手配経路が変わります[4]
公差と面粗度: 個別公差を指示する面はどこか、面粗度の目標値はいくつか[3]
受け入れ検査: ミルシートで確認する項目(化学成分分析、引張試験、曲げ試験、外観と寸法)と検査ロットの単位[1]
後工程: 板金曲げ、溶接、表面処理をどこまで含めるか。曲げがあるなら質別の選定に跳ね返ります[1][5]

納期が遅れやすいポイント

  • 図面に材質記号のA1100だけを書くと質別が決まらず、届く材料の硬さが一意に決まらない[1]
  • A1100は熱処理で強度を上げられないため、強度を熱処理で足す前提の設計がそのままでは通らない[2]
  • 強度が足りるか判断できず、A5052やA6061へ振り替えるべきか決めきれない[7]
  • 板厚公差の適用表が冷間圧延の板と熱間圧延の厚板で分かれるため、製品形態を書かないと許容差が確定しない[1]
  • 公開されているアルミの加工事例はA5052やA6061が中心で、A1100の面粗度やバリの出方を推定する材料にならない[3]

Q. A1100は、ほかのアルミ合金と何が違うのか?

A. 熱処理で強度が上がらず、強度が質別だけで決まる点が違います。[2] A1100はアルミニウムの純度が99.00%以上で、JIS H4000の成分表ではSiとFeの合計が0.95%以下、Cuが0.05〜0.20%、Mgが0.05%以下、Znが0.10%以下と決められています。[1] 強度を担う添加元素をほとんど持たないため、溶体化処理と時効処理で析出物を作る余地がなく、A1100は焼入れに相当する強化ができません。[2] そのぶん、強度は冷間加工でどこまで硬くしたかで決まります。質別記号のOやH14が指しているのはこの硬さの段階であり、質別が変われば同じ材質記号でも引張強さの範囲が重ならなくなります。[1] 材質記号だけの図面では、この幅のどこに落ちるかが決まりません。 強度が足りない場合に振り替える先は、添加元素で強化する系統になります。2000系は銅を添加して熱処理で強度を上げる合金で、そのかわり耐食性は純アルミニウムより落ちます。[8] 5000系はマグネシウムで強度を上げつつ、銅ほど耐食性を損なわないため、純アルミニウムに次ぐ耐食性を保ちます。[7] 強度が要求の中心にあるなら、A1100は最初に外れる候補になります。 もう一つ、同じA1100の名前で規格上のグレードが二つあります。標準のA1100Pに対して、旧記号1N00に対応するA1100APはSiとFeの合計が1.00%以下と、不純物の許容が緩く決められています。[1] 見積を取るときにどちらのグレードで引き合っているかを確認しておくと、材料の受け入れ基準が後でずれません。

Q. 図面と注文書には、どこまで書いておけばよいのか?

A. 合金記号に加えて、質別記号、製品形態、板厚公差の基準の3つです。[1][4] 質別記号は、JIS A1100P-H14のように合金記号に続けて書きます。弊社がアルミ素材の調達を受けるときも、質別は引張強さと伸びの要求に合わせて指定を受ける形をとっており、注文書の記載例もこの書き方です。[4] 板厚は百分台まで指定でき、プラス公差とマイナス公差の指定も受けられます。[4] 板厚公差そのものの基準は、圧延方法で表が分かれます。JIS H4000では、冷間圧延の板と条が表8、熱間圧延の厚板(おおむね4mm以上)が表10です。[1] 同じ板厚を書いても、どちらの製品を買うかで適用される許容差が変わるため、公差の数値だけでなく製品形態まで書いておく必要があります。 受け入れ検査の基準も先に決めておくと、材料が届いてからの差し戻しが減ります。JIS H4000の検査項目は、外観と寸法、化学成分分析、引張試験、曲げ試験です。検査ロットは10,000kgとその端数で一組、または熱処理ロットごとと決められています。[1] 後工程に板金曲げがあるなら、質別の選び方が曲げ半径に直結します。O材には板を自分自身に折り重ねる密着曲げに耐えることが求められる一方、H12以上の質別では内側半径が板厚のおよそ0.5倍から1倍と、質別と板厚の帯で変わります。[1] 曲げ形状が先に決まっているなら、質別もそこから逆算して固定したほうが手戻りがありません。[5]

Q. 弊社に相談いただくとき、何が決まれば回答できるのか?

A. 材質と質別、形状と寸法、公差と面粗度、数量の4つです。ここまで決まれば、対応可否と見積を回答します。[4][5] 材料側は先に押さえてあります。弊社の非鉄金属の在庫リストにはA1050、A1070、A1100、A2017、A2024、A5052、A6061、A7075が入っており、板材、丸棒、角棒、パイプの形で手配できます。[5] 素材調達としては純アルミニウムの1000系から6000系まで扱っており、100kg以下の小ロットのアルミコイルを協力企業と連携して手配した例もあります。[4] 近いグレードの参考としては、A5052の事例があります。プラスチック金型の冷却ブロックとして65mm×100mm×420mmの材料にφ30のガンドリル貫通穴を加工した事例です。[3] この事例では、A5052は被削性が良く加工中の工具トラブルは起きにくい反面、穴が曲がりやすいため工具寿命と刃先研磨の形状管理が効くと整理しています。[3] A1100はそのA5052よりさらに軟らかく、添加元素が少ないぶん延性が高い材料です。[1] 被削性は硬い質別のほうが良いとされているため、O材のような軟らかい質別を選ぶと、切りくずが分断されにくい方向へ働きます。切りくずが刃先に絡めば、面粗度とバリの安定度が落ちます。重い切り込みをかける場合には油性の潤滑が必要とされている点も、条件出しで見る材料の一つです。[2] 工具寿命や到達できる面粗度の数値は、質別と形状、数量が決まってから提示します。A5052の数値はそのまま当てはめず、質別が決まった時点でA1100の条件として改めて確認します。[3]

図面で見ておきたい条件

  • A1100は熱処理で強度を上げられないため、強度が足りない場合の選択肢は質別を上げるか合金系を変えるかの二つに絞られます。質別を上げると延性が下がり、曲げに必要な内側半径の下限が大きくなります。[1][2]
  • JIS H4000はISO 209:2007およびISO 6361シリーズに対応しますが、対応の程度はMOD(修正)です。ISO規格だけで指定された図面を受け取った場合、数値がJISと同一である前提は置けません。[1]
  • 弊社の材質ページに載せているアルミの引張強さ230〜570MPaは、A2017、A5052、A5056、A6061、A7075の5グレードを対象にした範囲です。A1100はこの範囲の下に外れるため、そのまま当てはめられません。[6]

相談前に知っておきたいこと

  • 弊社が公開している加工事例で最も近いのはA5052の冷却ブロックで、5000系合金の結果です。A1100の面粗度やバリの出方は、質別と形状が決まってから確認します。[3]
  • JIS H4000の引張強さと板厚公差は、板厚帯ごとに行が分かれています。実際に発注する板厚帯の許容差と機械的性質は、注文前に該当する行を確認する必要があります。[1]

関連するものづくりトピックス

業界での実機事例(参考)

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よくある質問

図面がまだ固まっていなくても相談できますか?+
できます。材質、質別、寸法、公差、数量がすべて決まっていなくても、現時点の図面、手書きメモ、既存品の写真、用途の説明から確認を始められます。まだ決まっていない項目は、質別のように材料の手配先と加工条件が変わるものと、板厚公差や製品形態のように適用される許容差の表が変わるものに分けて書き出し、見積の前提として一緒にお返しします。
図面に「A1100」とだけ書いてあれば見積は出ますか?+
概算までは出せますが、確定した金額にはなりません。A1100は質別で引張強さも延性も変わるため、質別が決まらないと材料の手配先も加工条件も一意に決まらないためです。O材かH14材かだけでも指定いただけると精度が上がります。
A1100PとA1100APは、どちらを指定すればよいですか?+
用途で許容できる不純物量から決めます。A1100APは旧記号1N00に対応するグレードで、SiとFeの合計の上限がA1100Pより緩く決められています。どちらで引き合うかを注文書に書いておくと、受け入れ検査の基準がそろいます。
支給材でも加工だけ依頼できますか?+
できます。その場合はミルシートの写しと、質別、板厚、素材寸法を先に共有してください。支給材か材料手配込みかで、材料の受け入れ検査をどちらが持つかも変わるため、そこも合わせて決めます。
強度がA1100で足りるかどうかも見てもらえますか?+
図面の要求強度と使用環境が分かれば、候補となる材質と質別の組み合わせを示せます。ただし最終的な材質の選定は用途側の要求に依存するため、こちらで代わりに決めることはしません。判断に必要な数値をそろえるところまでを担当します。
板厚公差はどこまで細かく指定できますか?+
百分台までの指定を受けられます。プラス公差だけ、マイナス公差だけという指定も可能です。ただし冷間圧延の板と熱間圧延の厚板ではJIS上の許容差の適用表が分かれるため、板厚の数値と一緒に製品形態も指定してください。
ミルシートは付けてもらえますか?+
注文時に要否を伝えてください。JIS H4000で定められている検査項目は、外観と寸法、化学成分分析、引張試験、曲げ試験です。どの項目まで証明が必要かによって、手配する材料の経路が変わることがあります。
A1100の加工事例を見せてもらえますか?+
近いものとして、A5052の冷却ブロックのガンドリル加工や、A5052ローラーのBTA深穴加工の事例をお見せできます。どちらもA1100より硬い5000系合金の結果なので、そのまま当てはめずに傾向の参考として見ていただく形になります。
小ロットの材料でも手配してもらえますか?+
相談できます。アルミ素材の調達では、100kg以下の小ロットのアルミコイルを協力企業と連携して手配した例があります。数量と納期を先に共有いただくと、在庫からの切り出しと新規手配のどちらが早いかを判断できます。
切断や曲げ、表面処理まで含めて依頼できますか?+
含めて相談できます。材料の調達と切断から、板金曲げ、溶接、二次加工、表面処理まで一括で受けます。工程がどこまで必要かによって、対応範囲と見積が変わります。
納期はどれくらいで回答できますか?+
質別、板厚、寸法、数量が決まっていれば、在庫の有無から先に回答できます。逆に質別や公差が未確定のうちは、材料の手配先が絞れないため納期も幅を持った回答になります。急ぎの案件では、決まっている条件と未確定の条件を分けて送っていただくのが最短です。

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参考事例・文献

外部資料

  1. [1] JIS H4000:2014 アルミニウム及びアルミニウム合金の板及び条(規格本文の再録ページ)
  2. [2] AZoM: Aluminium / Aluminum 1100 Alloy (UNS J91100)

内部事例

  1. [3] BTA・ガンドリル加工.COM: 金型の冷却ブロック

設備・会社情報

  1. [4] 金属加工ジャパン: 小ロット多品種のアルミ素材調達
  2. [5] 金属加工ジャパン: 非鉄金属の材料と加工品の調達
  3. [6] 金属加工ジャパン: 非鉄金属(アルミニウム)の材質データ
  4. [7] 金属加工ジャパン用語辞典: A5052
  5. [8] 金属加工ジャパン用語辞典: A2017

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