5軸マシニングセンタで削るべき形状かどうか、何を確認すべきか?
先に見るのは軸数ではなく、形状が段取り替えを何回要求するかです。傾斜面や曲面が複数方向に散っているなら5軸マシニングセンタが効き、単一面の穴と外形だけなら3軸で足ります。[7]
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形状の見立てから相談する
5軸に載せるか3軸で工程を分けるか決めかねている段階で構いません。傾斜面の数と狙っている公差、数量をメモにして送っていただければ、工法の見立てから返します。図面が固まっていなくても、構想段階でも受け付けます。
まず確認すること
最初に決まるのは機械ではなく形状です。傾斜面に穴が散った部品を3軸機で削ると、面ごとにワークを外して向きを変えることになり、そのたびに基準面の当たり方が変わって位置関係がずれます。[7] 深江特殊鋼の公開事例では、Ti-6Al-4V製の航空機エンジン用アクセサリーハウジングで段取り替えを5回から1回に減らし、全寸法公差±0.02mm以内とサイクルタイム35%短縮を同時に得ています。[3] 逆に、単一の面に穴と外形があるだけの部品は5軸に載せても段取り替えが減らないため、3軸のほうが速く仕上がります。
納期が遅れやすいポイント
- 傾斜面と曲面が混ざった図面で、3軸に分割すべきか5軸で一体に削るべきか決められない[7]
- 段取り替えのたびに面と面の位置関係がずれ、累積誤差の大きさが読めない[3]
- 5軸なら精度が上がると聞いたが、図面の公差が本当に入るのか確信が持てない[7]
- 回転軸の精度を、どの指標と単位で比べればよいのか分からない[1]
- 自由曲面の部品で、同時5軸が要るのか位置決め5軸で足りるのか判断できない[7]
Q. 5軸マシニングセンタが効く形状と、効かない形状は何が違うのか?
A. 加工したい面の向きが複数あり、それぞれの位置関係を図面で指定されている形状です。[7] 3軸のマシニングセンタは工具を直線方向にしか動かせないため、斜めの面や曲面を削るにはワークの向きを変える段取り替えが要ります。5軸マシニングセンタは主軸またはテーブルを傾ける回転軸を2つ持ち、ワークを外さずに複数方向から工具を当てられます。[7] 段取り替えが減ると平行度や直角度、同軸度が保たれやすくなりますが、その理由は軸が多いからではありません。ワークを外して付け直すたびに基準面の当たり方が変わることが位置ずれの元なので、外す回数そのものが効いています。[7] 代表的な対象は、自由曲面の部品、複雑な形状の金型、傾斜面に穴やねじが分散した部品です。[7] 工程ページでも、航空機タービンブレード、医療用インプラント、光学レンズ金型、半導体装置の複雑形状部品を典型例として挙げています。[6] 実在機の適用例としては、プラスチック金型の仕上げ、アルミフレーム、カム歯車、ギヤのスカイビング加工が公表されています。[2] 5軸マシニングセンタがあれば深穴もあけられる、という見方は成り立ちません。深穴に必要なのは軸数ではなく、高圧の切削油を刃先まで届ける機構と切りくずを外へ運ぶ機構であり、L/Dの大きい穴はガンドリル加工やBTA加工へ工程を分けます。[7] 同じ理屈で、単一面に穴と外形があるだけの部品は5軸に載せても段取り替えが減らないため、3軸で削ったほうが総額は下がります。
Q. 5軸マシニングセンタの精度は、どの数値で比べればよいか?
A. 回転軸の両方向位置決め正確さ、繰返し精度、反転値を、角度の秒単位で見ます。[1] マシニングセンタの位置決め精度は、JIS B 6336-4が直進運動軸と回転運動軸を分けて許容値を定めています。[1] 直進軸は測定範囲が長くなるほど許容値が緩み、測定範囲が500mm以下なら両方向位置決め正確さ0.022mmと繰返し精度0.012mm、1,250mmを超え2,000mm以下なら0.042mmと0.020mmになります。[1] 回転軸は測定範囲360度以下で、両方向位置決め正確さ28秒、繰返し精度16秒、反転値12秒が規定されています。[1] 単位が角度の秒である点が3軸機のカタログとの違いで、5軸マシニングセンタで追加される旋回軸と割出し軸はこの3指標で比べます。 オークマのトラニオン型5軸マシニングセンタMU-4000Vでは、B軸の割出し精度±1.78秒と繰り返し精度±0.50秒、C軸の割出し精度±2.26秒と繰り返し精度±0.12秒が公表されています。[2] 規格の許容値は両方向位置決め正確さという幅の指標で、メーカー公表の割出し精度は±表記です。[1] 定義が異なるため、数値をそのまま並べて優劣は決められません。同じページには、B軸の旋回範囲が+90度から-120度、C軸が360度の無限回転、テーブル径φ400mm、最大積載質量300kgという受入側の制約も並んでいます。[2] 受入可否は精度値ではなくこの寸法と質量の側で決まるため、精度の3指標と同じ列に置いて確認します。 深江特殊鋼の設備では、立型5軸マシニングセンター(オークマMU-8000V、同時5軸制御、テーブル630×φ800mm)と門型5軸マシニングセンター(オークマMCR-A、最大加工範囲2,200×4,000mm)を保有しています。[5] 工程ページに載せている5軸複合加工の代表値は位置決め精度±0.003mm、面粗さRa 0.4から3.2です。[6] これは加工カテゴリ全体の代表値なので、個別の図面で狙える公差と面粗さは、材質と熱処理状態、治具の剛性、ワーク形状が決まってから算出します。
Q. 弊社へ相談いただくとき、事前に確認させていただく条件は何か?
A. 形状と材質、公差、数量、支給材か材料手配込みかの5点です。この5点が決まらないと工具経路と切削条件が決められず、加工時間も検査工程も算出できません。 公開している5軸加工の事例は2件あります。1件目はTi-6Al-4V製の航空機エンジン用アクセサリーハウジングで、φ250×L180、全寸法公差±0.02mm以内、面粗さRa 0.8、月産5個、リードタイム25営業日です。3D曲面形状で段取り替えのたびに誤差が積み上がることが元の課題で、ワンチャック加工へ寄せて段取り替え5回を1回に減らし、サイクルタイムを35%短縮しました。[3] 2件目はA7075製の半導体装置向け真空チャンバーブロックで、300×250×150mm、内部の複雑流路を寸法公差±0.005mm、面粗さRa 0.2で加工し、真空リーク試験に合格、歩留まり99%以上、リードタイム18営業日です。[4] 曲面が連続していれば同時5軸、傾斜面に穴が散っているだけなら位置決め5軸で足りることが多く、この区別が加工時間と単価を大きく動かします。[7] 公差が±0.02mm付近なのか±0.005mm付近なのかでも、必要な検査工程と治具の作り方が変わります。[3][4] 深江特殊鋼はBTA深穴機やマシニングセンタ、旋盤を自社に持ち、会社概要では国内300社を超える協力企業と記載しています。[5] この協力企業ネットワークが、対応できる材質や精度、ロット、納期の範囲の広さにつながっています。材質と要求精度が決まれば、対応可否と見積りを回答します。図面がまだ固まっていなくても、構想段階でも相談できます。
図面で見ておきたい条件
- 受入可否は精度値だけでなくテーブル径と最大ワーク径、最大積載質量で決まります。トラニオン型のMU-4000Vではテーブルφ400mm、最大ワーク径φ500mm、最大ワーク高さ400mm、最大積載質量300kgです。[2]
- JIS B 6336-4が許容値を定める直進運動軸の測定範囲は2,000mm以下です。これを超える大型ワークを載せる検討では、別の規格や実測での確認が要ります。[1]
- L/Dの大きい深穴は軸数では解決しません。高圧の切削油供給と切りくず排出の機構が要るため、ガンドリル加工やBTA加工へ工程を分けます。[7]
相談前に知っておきたいこと
- 単価と納期、工具寿命の絶対値は、材質と熱処理状態、公差の最も厳しい箇所、数量、支給材か材料手配込みかが決まってから算出します。図面段階で提示できるのは工法の見立てまでです。
- 5軸加工の一般的な導入コスト、投資回収期間、業界平均の段取り時間短縮率は、出典をたどれる資料が手元にないため数値を出せません。段取り替え5回から1回、サイクルタイム35%短縮は自社の公開事例1件の実績値で、形状と材質が変われば同じ比率にはなりません。[3]
業界での実機事例(参考)

Ti-6Al-4V航空機用ハウジングの5軸加工

A7075半導体用ブロックの5軸精密加工
よくある質問
図面がまだ手書きのポンチ絵でも相談できますか?+
同時5軸と位置決め5軸は、依頼時にどう伝えればよいですか?+
5軸で加工すれば公差は自動的に厳しく入りますか?+
初回の回答を早くするには、何を送ればよいですか?+
材料の手配から依頼できますか?+
深穴と5軸加工が混ざった部品はどこまで一括で見てもらえますか?+
実績の少ない材質でも受けてもらえますか?+
既存の加工先で公差が入らない案件も相談できますか?+
試作1個だけでも見てもらえますか?+
納期の目安はどのくらいですか?+
あわせて読みたい情報
参考事例・文献
内部事例
- [3] 金属加工ジャパン: Ti-6Al-4V航空機用ハウジングの5軸加工
- [4] 金属加工ジャパン: A7075半導体用ブロックの5軸精密加工
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