半導体装置向け樹脂部品(絶縁・シール)の加工を外注するとき、何を確認すべきか?
材料の絶縁性能や耐薬品性だけで選ばず、公差、清浄度、量産時の寸法安定性まで先に数値で確認します。半導体装置向け樹脂部品は、PEEKやPTFEなど候補材料ごとに加工条件と検査基準が変わるため、部位と用途を分けて判断します。[1][2]
Meta-Navi bridge
Meta-Naviのエンプラ加工記事から相談へ進む
PEEKやPTFEなど半導体装置向け樹脂部品の材質選定で迷う時は、Meta-Navi のエンプラ・スーパーエンプラ加工記事を入口にして、用途と検査条件の整理はこのページで進めてください。とりあえず相談してみる場合、図面や具体的なアイデアがなくてもOKです。相談先を一度でつなぎたい時は、Meta-Navi のお問い合わせへ送れます。
まず確認すること
半導体装置向けの樹脂部品と一言でいっても、絶縁部品、シール部品、薬液接触部品では求められる性能も検査項目も違います。公開事例では、半導体ウェハ洗浄装置向けの薬液バルブボディをPEEK-CA30で加工し、寸法公差±0.01mm、外部シール面Ra0.6、クラス100クリーンルームで0.3μm以上の粒子検出ゼロという結果を出しています。[1] ただしこの事例は薬液接触・シール性能が主目的で、電気的な絶縁性能を評価した実例ではありません。絶縁用途で検討する場合は、材料の絶縁性能データと、実際に必要な絶縁破壊電圧の水準を分けて確認する必要があります。[2][4]
納期が遅れやすいポイント
- PEEK、PTFE、POMのどれを選ぶべきか、絶縁性能と耐薬品性の違いで迷う
- 樹脂は金属と違って熱変形・吸湿で寸法が動くため、公差が守れるか不安[3][4]
- クリーンルーム加工や清浄度の指定に対応できる外注先が絞れない
- 材質と半導体部品としての用途(絶縁、シール、薬液接触)が混在すると、検査基準の分け方が分からない[1][2]
- PEEK材が在庫品でない場合、調達込みで見積もれる外注先か分からない[2]
Q. 半導体装置向け樹脂部品は、なぜ材質選定を誤ると絶縁・シール性能で失敗しやすいのか?
A. 絶縁、シール、薬液接触という3つの用途が混同されやすく、材料選定の基準がずれるためです。[2][3] PTFEは化学的に安定した絶縁材料として電子部品の被覆やシールに使われる一方、強酸・強アルカリを扱う半導体製造プロセスでは、薬液タンクやポンプ・バルブ部品の耐薬品材料としても使われます。[3] PEEKも同様に、ウェハキャリアやコネクタ、絶縁部品として使われ、はんだ工程相当の熱(約343℃)や20kV/mmを超える絶縁破壊電圧が求められる用途があります。[4] つまり同じ樹脂でも、絶縁性能を重視するのか、耐薬品性・シール性能を重視するのかで、確認すべき材料特性が変わります。材料データではPEEKの電気絶縁性を「優秀」、PTFEの耐薬品性を「極めて優秀」としていますが、これは定性評価であり、絶縁破壊電圧のような数値データは社内には保有していません。[2] 用途を先に決めずに「樹脂ならPEEKで」と決め打ちすると、必要な性能を満たさないまま加工に入ってしまうリスクがあります。
Q. 加工発注前に、公差、清浄度、検査条件で何を数値確認すべきか?
A. 公差、シール面粗度、清浄度基準、寸法安定性の4つです。[1][4] 公開事例では、半導体ウェハ洗浄装置向けの薬液バルブボディをPEEK-CA30で加工し、寸法公差±0.01mm、外部シール面Ra0.6、クラス100クリーンルームで0.3μm以上の粒子検出ゼロを達成しています。[1] この水準を基準に、自社部品の公差、面粗度、清浄度要求がどのレンジにあるかをまず照合します。 樹脂は金属と違い、吸湿や温度変化で寸法が動きます。PTFEは30mm×1,000mmの丸棒が100℃で約1,010mm、0℃で約995mmまで変化するという熱膨張の例があり、PEEKも熱伝導率が低いため切削点の温度が150℃を超えると溶融や寸法ずれが起きやすいとされています。[3][4] したがって公差だけでなく、使用温度域と寸法変化の許容幅もあわせて確認する必要があります。 また、絶縁部品として使う場合は、切削加工後の絶縁破壊電圧を保証できるかどうかは別途確認が必要です。必要な絶縁破壊電圧の水準を数値でご提示いただければ、確認が早くなります。[2][4]
Q. 外注先には何を聞くべきか?
A. 対応可否の一言ではなく、近い用途・材質での実例、清浄度対応、材料調達の可否を聞いてください。[1][2] 外注先に「PEEKやPTFEの加工はできますか」と聞くと、多くの場合はできますという返答になります。聞くべきなのは、絶縁部品かシール部品か薬液接触部品か、近い用途での加工実績があるかです。深江特殊鋼側で示せる公開実例は、半導体ウェハ洗浄装置向けのPEEK-CA30製薬液バルブボディで、寸法公差±0.01mm、外部シール面Ra0.6、クラス100クリーンルーム対応、0.3μm以上の粒子検出ゼロという条件です。[1] この事例と自社部品を比べると、公差が近いのか、清浄度要求が厳しいのか、材質グレードが違うのかが見えます。 あわせて、PEEK材は在庫品ではなく案件ごとの材料調達が前提になる点、炭素繊維強化グレード(CF30など)は工具摩耗が早く送り条件を分けて管理する点も確認しておくと、見積の前提がそろいます。[2][4] 金属チャンバー本体と樹脂バルブボディ、絶縁部品、薬液接触部品が混在する案件でも、材料ごとに加工先と洗浄条件を分けて見ることができます。[6] エンプラ・スーパーエンプラの試作から量産までの加工実績、樹脂を含む大型部品の研磨・研削対応も、材料調達込みで相談する際の判断材料になります。[7]
図面で見ておきたい条件
- PTFEは融点を超えても溶融流動しないため射出成形・押出成形ができず、切削加工または圧縮成形が前提になる[3]
- PEEKは熱伝導率が低く、切削点温度が150℃を超えると溶融、寸法ずれ、工具摩耗が起きやすいため、送り、切削速度、冷却方法を分けて確認する[4]
- 炭素繊維強化グレード(CF30など)は摩耗性が高く、工具材質(PCD等)と送り条件を無充填グレードと分けて見る[4][5]
- 絶縁用途とシール用途、薬液接触用途では要求される検査項目(絶縁破壊電圧、面粗度、清浄度)が異なるため、用途を先に確定させる[1][4]
相談前に知っておきたいこと
- PEEK・PTFEとも社内に絶縁破壊電圧の実測データは保有しておらず、外部資料の一般値(PEEKで20kV/mm超など)を参考値として扱う[4]
- PEEK材は在庫品ではなく、案件ごとの材料調達が前提になる[2]
関連するものづくりトピックス
業界での実機事例(参考)

PEEK半導体ウェハ処理用バルブボディのマシニング加工
よくある質問
図面や材質がまだ確定していなくても相談できますか?+
PEEKとPTFE、どちらを選ぶべきか相談できますか?+
PEEK材は在庫していますか?+
クリーンルーム加工や粒子検出基準の指定にも対応できますか?+
半導体装置向け以外の用途でも、同じ樹脂材料で相談できますか?+
海外規格や海外顧客向けの仕様書にも対応できますか?+
短納期での試作対応は可能ですか?+
絶縁性能の保証書や試験成績書は発行できますか?+
既に他社で加工した樹脂部品の寸法不良を相談できますか?+
金属部品と樹脂部品が混在する半導体装置一式でも相談できますか?+
あわせて読みたい情報
参考事例・文献
外部資料
内部事例
- [1] PEEK半導体ウェハ処理用バルブボディのマシニング加工
設備・会社情報
- [2] 金属加工ジャパン: PEEK材料データ
- [6] 金属加工ジャパン: 半導体向け真空チャンバー加工ガイド
- [7] Meta-Navi コラム: エンプラ・スーパーエンプラの樹脂加工実績
このページの情報は役に立ちましたか?