無酸素銅を真空部品・高周波部品として精密加工するとき、何を確認すべきか?
無酸素銅(C1020)は酸化物をほとんど含まず水素脆化に強いため、真空ろう付け部品や高周波部品に選ばれます。[1] 発注前に確認すべきは、C1020とC101のどちらを指定するか、JIS H3100の調質記号(O、1/4H、1/2H、Hのいずれか)をどう指定するか、そして真空治具や応力除去熱処理までを含む加工実例があるかどうかです。[2][4]
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まず確認すること
無酸素銅の精密加工で最初に確認すべきなのは、可否そのものではなく、どの条件の実例があるかです。深江特殊鋼の公開事例では、超伝導加速器向けのC1020-O無酸素銅ブスバー(800×120×t20mm)を真空治具で加工し、250℃×2hの応力除去熱処理後、4.2Kで接触抵抗10nΩ未満を実測しています。[4] 別の事例では、C1020無酸素銅の赤外線レーザー用ミラー金型(φ60×t35mm)をEDMで仕上げ、Ra0.018、反射率99.3%を達成しています。[5] この2つの実例だけでも、無酸素銅の精密加工は材質だけでなく、固定方法、熱処理、仕上げ方法まで含めて条件が変わることが分かります。
納期が遅れやすいポイント
- 無酸素銅は粘りが強く、刃先が少し鈍っただけで溶着やむしれが出て面が荒れる[3]
- 切削熱で加工中に膨張し、冷えると寸法が縮んで公差から外れることがある[3]
- 薄肉形状はクランプ力で変形しやすく、通常の治具では精度が出ない[3]
- 無酸素銅とタフピッチ銅、C1020とC101のどれを指定すべきか社内で整理されていない[1][3]
- 真空ろう付けや高周波部品向けの加工実績を外注先がどこまで持っているか分からない[4][5]
Q. なぜ真空部品・高周波部品に無酸素銅が使われるのか?
A. 酸化物を含まず水素脆化に強いことと、導電率が高いことが主な理由です。[1] 無酸素銅(C1020)は純度99.96%以上で不可避不純物のみを含み、亜酸化銅を実質的に含みません。[1] このため、高温の水素還元雰囲気でも内部が割れる水素脆化を起こしにくい材料として、真空チャンバーや電子管、RF・真空フィードスルーのろう付け・溶接部に選ばれます。[1] JIS H3100でも、無酸素銅の品質確認項目として850±25℃で加熱する水素脆化試験が定められており、真空・高温接合用途向け材料の検査項目として扱われています。[2] 導電率は101%IACSで、高周波の表皮効果が支配的な電流経路や、熱を素早く逃がす用途にも向きます。[1] つまり、無酸素銅を選ぶ理由は「銅だから」ではなく、材料の酸化物の有無と純度、そこから来る水素脆化耐性と導電率です。[1][2]
Q. 加工でつまずきやすいのはどこか?
A. 材質そのものの粘りと、切削熱による寸法変化です。[3] 無酸素銅(C10200)は粘りが強く、刃先がわずかに鈍っただけできれいにせん断されずむしれ・溶着が起きやすい材料です。[3] 発生した切りくずが加工面に再溶着すると、面粗度が悪化します。[3] 切削熱で加工中に膨張し、冷えると収縮するため、公差ぎりぎりで仕上げると冷却後に寸法が外れることがあります。[3] 再溶着とむしれを抑えるには、ヘリックス角45度以上の研磨仕上げ超硬工具で刃先を連続的に材料へ噛ませ、切りくずでバリを巻き取るCAM経路を組みます。内部の交差部だけは通常のCAM経路でバリが残りやすく、サーマルデバリングで別途処理します。[3] 薄肉・微小形状はクランプ力そのもので変形するため、通常の万力ではなく、ワーク形状に沿わせて力を逃がすピージョーや、面全体を吸着する真空フィクスチャを使い分けます。[3] 深江特殊鋼の設備は6面フライス自動ラインと大型NC旋盤を中心に、BTA・ガンドリル深穴加工設備まで幅があり、この案件の形状・数量がどの経路に乗るかは個別確認が必要です。[7]
Q. 外注先には何を確認すべきか?
A. 材料の純度グレードと調質記号、そして真空・高周波条件での加工実例です。 まず、C1020(純度99.96%以上)かC101(純度99.99%以上)か、調質記号はO(軟質)か1/4H、1/2H、Hのどれかを、JIS H3100の引張強さ・伸びの要求値とあわせて確認します。[2][3] 次に、真空・高周波条件に近い実例があるかを確認します。深江特殊鋼の公開事例では、C1020-O無酸素銅の超伝導加速器向けブスバーを真空治具で加工し、応力除去熱処理後に4.2Kで接触抵抗10nΩ未満を実測しています。[4] 別の事例では、C1020無酸素銅のミラー金型をEDM鏡面仕上げし、反射率99.3%を達成しています。[5] どちらも無酸素銅固有の量産加工時間や実績値そのものではありませんが、固定方法、熱処理、仕上げ方法をどこまで管理しているかを見る材料になります。 半導体製造装置部品の加工外注ガイドでも、無酸素銅はSUS316LやA5052と並ぶ真空機器の材料選択肢として扱われています。[6] 材料名だけでなく、支給材か材料手配込みかもあわせて確認すると判断しやすくなります。
図面で見ておきたい条件
- 無酸素銅は延性が高く切りくずが分離しにくいため、すくい角を大きく取り工具を鋭利に保つ必要がある[3]
- 無酸素銅のような薄肉・微小形状の材料は、通常のクランプ力だけで変形するため、力を分散させる固定(ピージョーや真空フィクスチャ、接着による仮固定など)を選ばないと公差を保てない場合がある[3]
相談前に知っておきたいこと
- JIS H3100は板・条の規格であり、棒材の無酸素銅を使う場合は別規格の確認が必要になる場合がある[2]
- 真空チャンバー壁やRFキャビティそのものの無酸素銅加工実績数値は、超伝導ブスバーとミラー金型の2事例には含まれておらず、対象形状と数量が分かれば別途確認できる[4][5]
業界での実機事例(参考)
よくある質問
図面がまだ固まっていなくても相談できますか?+
無酸素銅とタフピッチ銅の違いは何ですか?+
C1020とC101はどちらを指定すればよいですか?+
調質記号のOと1/4Hは何が違いますか?+
無酸素銅の検査成績書は発行できますか?+
他の非鉄材料と比較検討できますか?+
無酸素銅の加工を相談するとき、材料グレードの絞り込みを早くするには何を伝えればよいですか?+
短納期での対応は可能ですか?+
海外向け出荷でも材料証明は用意できますか?+
深穴形状の冷却プレートや電極も同じ考え方で相談できますか?+
あわせて読みたい情報
参考事例・文献
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