発電機(ジェネレーター)の軸とケーシングを加工に出すとき、発注前に何を確認すべきか?
まず決めるのは、軸と軸受ボアのはめあいをどの公差クラスで指定するかと、回転する軸の直線性をどこまで詰めるかです。発電機(ジェネレーター)の部品は、軸側とケーシング側で使う機械も検査項目も別になるため、弊社では両方の図面条件を並べたうえで、対応可否と見積を回答します。[1][2]
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発電機の軸とケーシングの条件を持ち込んで相談する
外径と全長、軸受ボアの径、要求したい精度のメモがあれば十分です。図面や具体的なアイデアがなくてもOK!近い寸法の事例を起点に、対応可否と見積を回答します。
まず確認すること
発電機のケーシングは、外から見れば同じ箱物でも、荷重を持つかどうかで役割が変わります。大型立軸ユニットには、回転部の重量を上部ブリッジから固定子フレームを通して基礎へ逃がす構造と、下部ブリッジで受けるため固定子フレームが重量を支えなくてよい構造があり、後者ではフレームを軽く作れます。[2] 剛性の要求が変われば、加工時に基準面をどこに取るかも、図面のどの公差を重く見るかも、検査の重点も変わります。弊社が図面を受け取ってまず確認するのは、この違いがどこに書かれているかです。[2]
納期が遅れやすいポイント
- 軸とケーシングを別々の加工先に出し、それぞれの公差クラスだけを渡してしまうこと。はめあいの種別は穴と軸の許容サイズの関係で定義されるため、片側の図面だけでは実すきまが確定せず、組立直前の手直しで日程が延びます。[1]
- 「ケーシング」とだけ書いて図面を送ること。固定子フレームが回転部の重量を支える構造か、下部ブリッジで受けるため支えなくてよい構造かで、必要な剛性も基準面の取り方も変わり、確認の往復で初回回答が遅れます。[2]
- 直線性の数値だけを伝え、どの2点を結んだ直線を基準に測るかを決めないこと。基準の取り方が変われば同じ軸でも合否が変わるため、検査段階で測り直しが発生します。[2]
Q. 発電機の軸とケーシングは、なぜ発注先が分かれやすいのか?
A. 軸は大型旋盤での長尺旋削と深穴加工、ケーシングはマシニングセンタでの中ぐりで、使う機械も検査項目も別だからです。[3][4] 軸側で効いてくるのは、外径の公差と直線性、それに回転体としての振れです。弊社の公開加工事例では、SNCM630製の火力発電所蒸気タービン中圧軸(φ480×L7,300mm)にBTA孔φ150を深さ7,200mmまで加工し、直線性0.18〜0.2mm/7,200mm、硬度HRC32という記録が残っています。これは発電所の設備ではありますが、発電機そのものの軸ではなく蒸気タービンの軸です。[3] ケーシング側で効いてくるのは、軸受ボア同士の同軸度と位置度、それに素材の歪みです。弊社でケーシングに近い公開加工事例は産業機械向けの減速機ケースで、SS400の溶接構造(550×420×320mm)にある軸受ボア4か所(φ120〜180mm)に対し、同軸度0.03mm、位置度φ0.08を出しています。溶接構造は残留応力が加工後に動くため、この案件では600℃で4時間の応力除去焼鈍を最終ボーリングの前に入れています。[4] 両者をつなぐのが勘合部の指定です。公差クラスは基礎となる許容差の識別文字と基本サイズ公差等級番号を並べて書き、穴は大文字、軸は小文字を使います。呼び寸法はmmで書き、その区分ごとに公差値が変わります。この表記はJIS B 0401-1とISO 286-1でほぼ同じ内容のため、海外の加工先を含めても同じ言葉で指定できます。[1]
Q. 発注前に数値で決めておくことは何か?
A. 勘合部の公差クラス、はめあいの種別、軸の直線性、そしてそれを検査でどの工程段階に置くかの4つです。[1][2] 公差クラスは「90 F7」のように、基礎となる許容差の識別文字と基本サイズ公差等級番号を並べて書きます。等級はIT01からIT18まであり、番号が小さいほど許容できるばらつきが狭くなります。同じIT7でも図示サイズ区分で値が変わり、80〜120mmの区分で35μm、250〜315mmの区分で62μmです。[1] はめあいの種別は、穴の下の許容サイズが軸の上の許容サイズ以上ならすきまばめ、穴の上の許容サイズが軸の下の許容サイズ以下ならしまりばめ、両者の許容区間が重なるなら中間ばめになります。公差クラスの記号を書けば実すきまが1点に決まるわけではありません。JIS B 0401-1の計算例では、呼び寸法36mmのH8/f7で最小すきま0.025mm、最大すきま0.089mmと算出されています。[1] 直線性は、値だけでなく測り方も一緒に決める必要があります。大型立軸水力発電ユニットの据付基準では、軸の上端と下端の測定点を結ぶ直線から、どの測定点も0.003インチを超えて外れないこと、という形で規定されています。同じ基準では、上下のガイド軸受の同心を直径すきまの20%以内、シールリングの同心を直径すきまの10%以内としています。部品図の公差とは別に、据付側でこの形の許容値が決まっている場合があります。[2] これらの数値は数十MW級の立軸水力発電ユニット向けであり、小型の発電機セットにそのまま当てはめられるものではありません。弊社に相談いただく場合は、据付側の要求値が部品図の公差と検査条件にどう落ちているかを先に聞いています。[2]
Q. 弊社に相談いただいたとき、対応可否と見積をどう決めているか?
A. 軸側は自社の大型旋盤とBTA深穴加工機のレンジ、ケーシング側は門型と5軸のマシニングセンタのレンジに図面を当てて成立性を判断します。[5] 弊社の設備は、BTA深穴加工機がφ20〜300mm(最大φ600mm)で最大深さ13m、NC旋盤と大型旋盤が最大φ1,200×15m、門型マシニングセンタが最大2,200×4,000mm、5軸の立形と横形のマシニングセンタが11台という構成です。中心穴を持つ長尺の軸は前者、軸受ボアを持つケーシングは後者で見ます。[5] このレンジから外れる寸法や材質でも、対応可否と見積を回答します。深江特殊鋼はBTA深穴加工事業を1975年に始め、現在は300社を超える協力会社と取引しており、エネルギー分野の対象部材としてシャフトとハウジングの両方を挙げています。[5] ただし、軸側は火力発電所の蒸気タービン中圧軸(SNCM630、φ480×L7,300mm)と高圧ポンプシャフト(SUS630、φ80×L650mm、BTA孔φ20×深さ600mm、L/D比30:1)、ケーシング側は産業機械の減速機ケースと建設機械の旋回減速機ハウジング(SS400鋳造、900×700×500mm、軸受ボアφ320H7、真円度0.015mm)が実績の中心です。[3][4] 発電機の部品として受けられるかは、勘合部の公差クラスと外形寸法、要求する直線性が決まってから、対応可否と費用を回答します。[3][4]
図面で見ておきたい条件
- 軸とケーシングを別々の加工先に分けると、はめあいの実すきまは両方が仕上がるまで確定しません。はめあいの種別が穴の許容サイズと軸の許容サイズの関係で定義されるため、片側の公差クラスだけでは値が決まらないからです。JIS B 0401-1の計算例では、呼び寸法36mmのH8/f7で最小すきま0.025mm、最大すきま0.089mmと算出されています。[1]
- 据付後の同心は、部品単体の公差だけでは決まりません。大型立軸水力発電ユニットの手順では、軸受ブラケットや固定子のような可動側を、タービンのシールリングのような動かせない基準に対して動かして同心を出し、その位置でダウエル固定します。どの面を基準に動かすかは部品図に書かれていないことがあるため、相手部品の情報も一緒に確認します。[2]
相談前に知っておきたいこと
- 軸側は火力発電所の蒸気タービン中圧軸と高圧ポンプシャフト、ケーシング側は産業機械と建設機械の減速機ケースが実績の中心です。発電機の部品として受けられるかは、勘合部の公差クラスと外形寸法、要求する直線性が決まってから、対応可否と費用を回答します。[3][4]
関連するものづくりトピックス
業界での実機事例(参考)

SNCM630発電所タービンシャフトのBTA加工

SS400減速機ケースのマシニング加工
SS400建設機械用大型ハウジングのボーリング加工
よくある質問
図面や具体的なアイデアがなくても相談できますか?+
軸だけ、あるいはケーシングだけの依頼でも受けてもらえますか?+
はめあいの公差クラスをどう指定すればよいか分からない場合は?+
海外で製作した発電機の部品に、追加工を依頼できますか?+
鋳造品のケーシングでも相談できますか?+
既存機の分解整備に合わせて、現地での加工を依頼できますか?+
納期はどのくらいかかりますか?+
小型の発電機セットの部品でも相談できますか?+
回転バランス試験まで依頼できますか?+
見積の初回回答を早くするには、何を送ればよいですか?+
あわせて読みたい情報
参考事例・文献
外部資料
内部事例
- [3] Meta-Navi 加工事例: SNCM630製 火力発電所蒸気タービン中圧軸のBTA加工
- [4] Meta-Navi 加工事例: SS400減速機ケースのマシニング加工と大型ハウジングのボーリング加工
設備・会社情報
- [5] Meta-Navi: エネルギー分野の対象部材、設備一覧、会社概要
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