銅箔製造設備のロールとマンドレルを加工に出すとき、発注前に何を確認すべきか?
まず切り分けるのは、対象が電解工程のカソードドラムなのか、スリッターや巻取り機の搬送ロールとマンドレルなのかです。銅箔の製造設備は工程によって要求される真直度と面粗度の桁が変わるため、弊社では外径φと全長、要求精度のメモをいただいた時点で、対応可否と概算の見積を回答しています。[1][2]
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銅箔設備のロールとマンドレルの条件を持ち込んで相談する
外径と全長、どの工程で使うか、要求したい真直度と面粗度のメモがあれば十分です。図面や具体的なアイデアがなくてもOK!近い寸法の鋼材ロール事例を起点に、対応可否と見積を回答します。
まず確認すること
最初に決めるのは精度の数値ではなく、そのロールがラインのどこに入るかです。電解工程のカソードドラムについて公開されている製品仕様では、同軸度と真直度がいずれも±0.05、面粗度0.3μm、静バランス3N·m未満、対応する箔厚が4〜105μmと示されています。[2] 一方、後工程の搬送ロールにこの数値をそのまま持ってきても判断材料になりません。面圧と線速度の積が寿命を決める部品では、クラウニング曲線量とテーパー角の管理が先に効くからです。[4]
納期が遅れやすいポイント
- 「ロール」とだけ書いて図面を送ること。電解工程のカソードドラムは表面で析出した銅をそのまま箔として剥がすため表面形状が箔の面に写るのに対し、後工程の搬送ロールは面圧と線速度の積が寿命を決めます。管理する項目が別なので、確認の往復で初回回答が遅れます。[1][4]
- 真直度や同軸度の数値だけを伝え、どこを基準に測るかを決めないこと。公開されているカソードドラムの製品仕様でも同軸度と真直度は±0.05という単一の数値で示されるだけで、測定条件までは書かれていません。基準の取り方が変われば同じ部品でも判定が変わるため、検査段階で測り直しになります。[2]
- 外周に耐食層を持つ二重構造のロールで、外筒の材質と厚みだけを指定すること。焼きばめのしめしろと加熱温度が決まらないと内筒の仕上げ外径が確定しないため、素材手配の段階で止まります。[1]
Q. 銅箔製造設備のロールは、工程が違うと何が変わるのか?
A. 電解工程のカソードドラムは表面形状が箔に写るため面粗度と真円度が中心になり、後工程の搬送ロールは接触の均一さが効くためクラウニング量と外径公差が中心になります。[1][4] カソードドラムは、電解液中で回転しながら表面に銅を析出させ、それを箔として剥がす部品です。公開されている特許の構成では、導電率の高い銅合金の内筒に、チタンやジルコニウム、タンタルの外筒を焼きばめし、外筒の表面に平らな頂きを持つ凸部と谷を刻んでいます。凸部の頂きが軸心から等距離、つまり真の円筒面をなすように、谷を切る前に旋盤で仕上げる順序が指定されています。ここで管理されているのは各部の寸法公差ではなく、凸部の頂きがそろっているかどうかです。[1] 外筒の厚みは2〜10mm、標準は6〜8mmで、凸部の幅は約1.5mm、5mm間隔、谷の深さは0.1〜0.5mm(標準約0.3mm)とされ、凸部が表面積に占める割合は約30%です。[1] ただしこの特許は1979年の出願で、電池電極向けの現行設備を記述したものではなく、面粗度や振れの公差値も書かれていません。寸法と工程順の考え方の参照として見てください。[1] チタン製カソードドラムを供給するメーカーが公開している製品仕様では、同軸度と真直度がいずれも±0.05、面粗度0.3μm、静バランス3N·m未満、結晶粒度がASTM 9.5以上と書かれています。対応寸法はφ1,500〜3,600mm、幅1,000〜1,900mmで、扱える箔厚は4〜105μmです。[2] これは1社の製品仕様であって業界共通の公差表ではなく、スリッターや巻取り機のロールにそのまま当てはまる数値でもありません。[2] 後工程の搬送ロールでは、面粗度と真円度より先にクラウニング曲線量とテーパー角が効きます。面圧と線速度の積が寿命を決めるため、外径公差だけを詰めても、クラウニング曲線量とテーパー角が0.001mm単位で合っていなければ、片当たりや蛇行、ニップ圧の不均一が出ます。高速回転ではジャイロモーメントと熱クラウンによる外径の膨張で芯ズレが進みます。[4]
Q. 弊社に相談いただくとき、図面に何が書かれていると初回回答が早いか?
A. 対象工程、外径φと全長、外径公差クラス、真直度と同軸度の測定基準、面粗度の判定基準、動釣合の等級です。[2][4] 精度の数値は、測り方まで決めて初めて合否が決まります。公開されているカソードドラムの製品仕様でも、同軸度と真直度は±0.05という単一の数値で示されるだけで、どの2点を結んだ直線を基準に測るかまでは書かれていません。長尺のロールは基準の取り方が変わると同じ部品でも判定が変わるため、弊社では寸法公差とは別に、検査の基準点と測定方法を図面と一緒に確認しています。[2] 外周に耐食層を持つ二重構造なら、外筒の材質グレードと厚みに加えて、焼きばめの条件も必要です。公開されている特許の例では、外筒を約450°Fまで加熱して膨張させ、しめしろ2mmで内筒にはめ、冷却して締め付けています。チタンの線膨張係数が約8.5×10⁻⁶/℃、銅合金が約18×10⁻⁶/℃であるため、通電による発熱時は内側の銅合金のほうが大きく伸び、接触圧が上がる向きに働きます。しめしろが決まらないと内筒の仕上げ外径が決まらず、材料の手配寸法も確定しません。[1] 弊社のローラーとしての標準的な指定値は、外径h5〜h6、円筒度0.003mm、振れ0.005mm、Ra0.1μm、動釣合G1.0です。焼入れでHRC58以上にしてから研削とスーパーフィニッシュに入る順を標準としています。[4] 図面の要求がこの標準より緩いか厳しいかで、必要な工程数と使う設備が変わります。[4] 材質グレードの書き方も指定に含めてください。公開されている製品仕様では、チタンリングをTA1/Gr1(純チタン)、厚み10mm超(-0、+0.5)、結晶粒度をASTM 9.5以上という形で指定しています。粒度は寸法公差とは別枠の品質項目です。なお、TA1とGr1が厳密に等価かどうかは、その仕様書には書かれていません。[2]
Q. 弊社では、どこまで自社で加工し、どこから手配するのか?
A. 長尺ロールの旋削と研削は自社の大型旋盤と研削盤のレンジ内(最大φ1,200×15,000mm)で受け、焼入れと表面処理、レンジ外の寸法も含めて対応可否と見積を回答します。[3][4] 自社の大型旋盤は最大φ1,200×15,000mmを含む4台構成で、研削は平面研削盤とNC立軸円テーブル形研削盤の2台、面粗度Ra0.1、寸法精度±0.005mmです。[4] 公開加工事例では、S45C製の製鉄用圧延ローラー(φ820×L2,550mm)でCNCによるクラウニング形状誤差±0.01mm、公差h6、Ra0.4、2本を25営業日という記録があります。SS400製の産業機械用ローラー(φ420×L2,050mm)では外径振れ±0.03mm、公差h6、Ra0.8で、月産5本を14営業日です。[3] 重量物の段取りも記録があります。SS400製の造船ガイドローラー(φ510×L3,050mm、重量3t超)では、重心を計算したうえで専用治具を設計して加工しています。[3] ただしこれらはいずれも鋼材の長尺ロールであり、銅箔製造ラインの部品ではありません。[3] 焼入れ(HRC20〜65)と硬質クロムメッキ(膜厚20〜50μm)は、自社設備ではなく協力企業ネットワークでの手配です。ロールの外周に硬質クロムメッキを入れる場合は、膜厚の分だけ研削前の外径を残す必要があるため、手配先の条件と最終の外径公差を先に確認します。[4] マンドレルについて弊社が公開している記録は、2020年に出した大型旋盤加工のコラムに載せたプラント関連の納品実績という一行だけです。同じコラムでは、紙器関連の巻取ロールやパイプロール、製鉄所の圧延ロールと大型シャフトの納品実績も挙げています。寸法も公差も書かれていないため、この一行から要求精度を読み取ることはできません。そのコラムには、自社設備に加えて国内の加工協力会社と、韓国および中国での調達を併用しているという記載もあります。[5]
図面で見ておきたい条件
- 外周に耐食層を持つ二重構造のロールでは、内筒の仕上げ外径と材料の手配寸法は、外筒の材質と加熱温度が決まるまで確定しません。公開されている特許の例では、外筒を約450°Fまで加熱して膨張させ、しめしろ2mmで内筒にはめ、冷却で締め付けています。チタンの線膨張係数が約8.5×10⁻⁶/℃、銅合金が約18×10⁻⁶/℃であるため、通電による発熱時は内側の銅合金のほうが大きく伸び、接触圧が上がる向きに働きます。[1]
- 円筒研削の仕上げは、焼入れが先に入るかどうかで工程順が変わります。弊社のローラーの標準的な仕上げ手順は、焼入れでHRC58以上にしてから研削とスーパーフィニッシュでRa0.1μmに入れる順です。焼入れは協力企業ネットワークでの手配になるため、外径の仕上げ代と歪みの見込み、そして最終の外径公差を、加工先へ出す前に決めておく必要があります。[4]
相談前に知っておきたいこと
- 公開しているのは製鉄用の圧延ローラー、産業機械の搬送ローラー、造船のガイドローラーで、いずれも鋼材の長尺ロールです。銅箔設備の部品としての対応可否と費用は、対象工程、外径と全長、要求する真直度と面粗度、外周材の指定が決まった時点で回答します。[3][4]
- マンドレルについて弊社が公開している記録は、2020年のコラムに載せたプラント関連の納品実績という一行だけで、寸法も公差も書かれていません。どの種類のマンドレルだったかも、その記載からは特定できません。[5]
関連するものづくりトピックス
業界での実機事例(参考)

S45C製鉄用圧延ローラーの大型旋盤加工

SS400大型ローラーの旋盤加工

SS400造船用大型ローラーの旋盤加工
よくある質問
図面がまだ無い段階でも相談できますか?+
カソードドラムか搬送ロールか、社内でまだ決まっていない段階でも見てもらえますか?+
外周のチタン層まで含めて一式で受けてもらえますか?+
海外で作られた既存ロールの再研磨や修理も相談できますか?+
納期の目安はどのくらいですか?+
材料の手配から含めて依頼できますか?+
動釣合はどの等級で指定すればよいですか?+
面粗度はどこまで細かく指定すべきですか?+
1本だけの試作でも受けてもらえますか?+
既存の加工先で真直度が出ないという相談でもよいですか?+
あわせて読みたい情報
参考事例・文献
外部資料
内部事例
- [3] 金属加工ジャパン 加工事例: S45C圧延ローラー、SS400産業機械用ローラー、SS400造船ガイドローラー
設備・会社情報
- [4] 金属加工ジャパン: ローラーの加工仕様と旋盤、研削、表面処理の対応範囲
- [5] 金属加工ジャパン コラム: 大型旋盤加工の納品実績と調達体制
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